「和歌山マリーナシティ」にIR(カジノを含む統合型リゾート施設)の開業を目指している和歌山市では27日、和歌山市議会において、IR誘致の賛否を問う住民投票条例案の採決が行われたが、反対多数で条例案は否決された。
IR誘致の賛否を問う住民投票は、市民団体がおよそ2万筆の署名を集めて提出し、和歌山市の尾花市長に求めていたもの。25日に先立って開かれた和歌山市議会の委員会で、採決の結果、反対多数で否決となっており、修正案が27日の市議会本会議で諮られた。尾花市長は、住民投票には多額の経費を要することなどを理由にあげ「実施する意義は見出しがたい」と否定的な意見を添えて議会に上程していた。市側の説明によると、住民投票を実施した場合の費用は、市長選と同程度の8,500万円程を想定していたという。
和歌山県では、昨年8月、クレアベストニームベンチャーズ株式会社及びClairvest Group Inc.のコンソーシアムが、IR設置・運営優先権者として選定され、県と基本協定を結んだ。9月末には米カジノ大手のシーザーズ・エンターテイメントがカジノ事業者として参加することも発表され、現在は県とクレアベストが共同して区域整備計画の作成を急ぎ、期限となる2022年4月28日までに国へ申請することを目指している。
和歌山県のIR誘致は、「具体的な内容の多くを外部から把握できない状況にある」ことが不信を買う一因になっていると考えられる。昨年11月に開かれた県議会の特別委員会では、議員側から、資金調達の面やIR運営事業主体の構成メンバーなどについて質問がなされたが、県とクレアベストは「具体的な内容は現時点では話せない」と回答した。これを受けて委員会は「住民に説明するには内容が不十分で、(説明会は)現段階では延期すべき」という意見をまとめた。県は委員会の意見を認め、昨年11月から12月に予定されていた住民説明会及びパブリックコメントを延期している経緯がある。