IR(カジノを含む統合型リゾート施設)の大阪誘致計画を巡り、用地の賃料が不動産鑑定を依頼した4社中3社で一致していることなどについて、15日、松井一郎大阪市長が定例会見で記者団の質問に答えた。
市長の会見に先駆けて、土地を所管する大阪港湾局は15日、業者への誘導はなく「一切問題なかった」と記者団に説明した。IRの国内実績がないため各社は「大規模複合商業施設」用地として算出し、4社中3社が1平方メートル当たりの月額賃料を428円と算定した。周囲の「準工業地域」の地価と比べ、IR用地は約2倍の価格となった。
大阪市は事業予定者に対し、夢洲の土地約49ヘクタールを35年間貸し出す予定で、年間の賃料を約25億円と設定している。
松井一郎大阪市長は同日の定例記者会見で「そもそもこれは売却用地ではない。売却価格を算出したのは、その価格を元に賃料を設定するため。土地の値段がわからなければ賃料が設定できない」「これはIR事業者からIR用地は売却ではなく賃貸にしてほしい。初期投資は土地ではなく建物にしたい。と要望があったから」と説明した。
夢洲と同じ大阪市此花区にあるユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)周辺の土地価格と比べ、価格が安いのではないかと質問された市長は、「USJも呼び込む時の賃料は安く、成長する中で徐々に上げていった。夢洲の土地は売るわけではなく賃貸。10年20年のうちに市場に合わせて値段は上がっていくと思う」と述べ、「最初にその土地の魅力を創るためにやっている。USJも同じ。人が集まる拠点になれは土地価格は上がる。ただ、最初の基本は鑑定事務所に鑑定してもらわないといけない。(現状何もない土地なので)市場原理が働かない場所だから」と説明した。
松井市長は、鑑定事務所に対する恣意的な誘導などは無いとし、もし問題があった場合は「来年分の報酬を全て返上し、職員も処分する」と語気を強めた。
大阪府は米カジノ大手MGMリゾーツとオリックスを運営の主体としたIR整備計画を国へと申請しており、国の認定を待っている。
計画では、2029年の秋から冬ごろの開業を予定。年間の来場者数は2,000万人、売り上げは5,200億円、経済波及効果は年間1兆1,400億円を見込んでいる。