最近、アジア太平洋地域にあるごく一握りのカジノおよび統合型リゾート企業の株を購入し始めた。
それほど興奮するほどの事でもない。いいかい、今すぐ南国に行って余生を過ごそうなどとは思っていない。しかし、この仕事をしている間に学んだことが一つあるとするならば、それはこの業界では、物事は見た目ほどに良い・悪いといったことはないということだ。
現在、新年を迎えるにあたって、マカオから韓国、オーストラリアといった国の事業者たちは度重なる逆風に打ちのめされており、投資家たちが不安に感じているかもしれないというのは理解できる。
新型コロナの感染拡大が世界のホスピタリティ業界を最初に壊滅させてから丸2年、政府が国境を開こうと目論むそのタイミングで、オミクロン株の登場に再び意表を突かれる形となった。
韓国の外国人専用カジノから、かつては破竹の勢いであったマカオのゲーミングハブまで、越境ツーリズムに大きく依存する法域は、継続して訪問者数の大幅減によるプレッシャーを感じている。
同様に、中国による越境賭博の取り締まり強化は、国境が再び開かれた時にでさえ、海外の事業者が中国人観光客を呼び込むことができるかどうかに疑問を投げかけており、国際マーケティング戦略という点においては考え直す時が迫っていることを示唆している。
明らかに、VIPセクターは2022年、全面見直しに向かう。アジア最大のジャンケットプロモーター、サンシティグループが、CEOであるアルヴィン・チャウ氏の逮捕を受けて、12月に全てのジャンケット営業を停止した。これがジャンケット業界の死を宣告するのかどうかはまだわからないものの、今後その様子が変わっていくことは間違いない。
皮肉にも、サンシティがクラウン・リゾーツおよびスター・エンターテイメント・グル ープと持ってきた関係によって、既に規制上の徹底調査の真っただ中にあるオーストラリアでは、事業者たちがどのように中国人VIPがいない中でその未来を修正するかをめぐる疑問が持ちあがっている。同じ質問がこの地域の至る所で投げかけられており、一部のメディア組織は業界の未来に疑問をなげかけるほどだ。ある人は大胆にも、これはアジアのカジノ中心地としてのマカオの立場の終結を意味するとさえ指摘した。そのような考えはばかばかしい。
2022年寅年のことを考えた時、私はアジア太平洋地域のゲーミング業界が再び唸り声をあげることに一切疑いを持っていない。マカオでは、クリスマスイブの4万人の訪問者数(2021年で3番目に多い)が、これまで以上に需要が高まっていることを示しており、中国人の側では渡航控えというよりも、新型コロナによる入境制限が続いているという理由のみで数字が抑制されている。米国がここ数か月に示しているように、繰延需要は本当に実在しており、私は中国が国境を完全に開けば、マカオが同じように反応すると予想している。
信頼できる確固たる国内市場を持つオ ーストラリアやフィリピンのような国では、回復軌道はさらにいっそう強固であるように見える。
シンガポールの統合型リゾートは、コロナ禍でも驚くほど弾力性があり、リゾートワールド・セントーサ(RWS)は国境が閉鎖されているにもかかわらず、まずまずの利益を生み出せてさえいる。国境が今、開かれつつあり、中国のジャンケット取り締まりがシンガポールの事業者にとって比較的深刻でない可能性が高いことで(ライセンス付与をほぼ不可能にするほどにジ ャンケット規制が厳しい)、2022年は確実に過去2年間の問題を大幅に改善することを示す年になる。
カンボジアのナガワールドは他よりも大きな問題に直面する可能性がある。モルガンスタンレーが最近、2019年のEBIT-DAの45%がVIPセグメントから、そしてその25%が中国人VIPから来ていたと予想した。それでも、RWS同様、ナガワールドはプノンペンの大きな駐在員コミュニティのおかげで、コロナ禍に開業した際にも利益をあげており、今後数年は中国との親密な関係から恩恵を受けると予想できる。
機関投資家がこのセクターに慎重である一方で、ひょっとすると実際は、長年の間で乗り込むのに最も良い時期がきているのか?
それは時が経てば分かる。しかし、私には良いベットのように思える。
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