投資銀行モルガン・スタンレーによると、ジャンケットの衰退により、マカオ特別行政区政府は、マカオで事業を行うカジノコンセッション事業者よりも大きな打撃を受けることになり、税収は2019年の水準から最大33%減少するという。
サンシティーグループのCEOであったアルヴィン・チャウ氏が逮捕され、同社のマカオのVIPルームが閉鎖された後、ジャンケットとの取引をやめる計画があるかどうかについて、事業者からの正式な発表はまだないが、サンシティに次いで歴史的に2番目に大きなVIPプロモーターであるタク・チュン・グループは、マカオの6社あるコンセッション保有者のうち2社から取引停止の正式な通知を受け取ったことを7日(火)に確認した。
コンセッション保有者6社が年内にジャンケットとの一切の関係を解消しようとしていると広く噂されている。
モルガン・スタンレーのアナリストであるプラビーン・チャードハリ氏、ギャレス・レオン氏、トーマス・アレン氏は、ジャンケットがなくなっても、コンセッション保有者にとって壊滅的な打撃にはならないだろうと述べている。コンセッション保有者は、2019年にGGRの39%、EBITDAの9%というVIPの貢献を報告しているが、ピーク時の2013年には業界GGRの70%、EBITDAの32%を占めていた時から大きく下落している。
新型コロナ発生以降、これらの数字はさらに低下し、21年9月30日までの9カ月間で、業界GGRのわずか23%、EBITDAの5%未満となっている。
それに比べて、VIP部門は2019年のマカオの税収の33%をも占めている(2013年の61%から減少したとはいえ未だ大きい)。
アナリストたちは、「VIP部門は、過去15年間でマカオ政府に累積2280億米ドル(約25兆円)の収益(EBITDAは200億米ドル程度(約2.2兆円))と890億米ドル(約10兆円)の税収をもたらした。それゆえにVIPは、コンセッション保有者のEBITDAよりも税収にとって更に重要な役割を果たしているのである」と記載する。
また、「今回の一連の流れは、違法行為や国境を越えた資金流出を排除しようとする真剣な姿勢を示しており、プレミアムマスにも波及する可能性がある」と述べている。
遥かに魅力的なマージンを提供するプレミアムマスの問題は、事業者にとってより差し迫った関心事であるようだ。
モルガン・スタンレーは、「一人当たりのプレミアムマスの消費額は、中国本土からの旅行者の1日あたりのATM利用限度額や海外での引き出し限度額よりもはるかに高い」と付け加えた。
「2022/23年には、VIPが総売上高に占める割合は10%から20%未満、EBITDAに占める割合は5%未満になると予想している。ポジティブな面では、収益や利益の質が向上することで、業界の評価が上がる可能性がある」。