共同会長兼業務執行取締役
MGMチャイナ
グループ取締役会長兼マネージング・ディレクター
信徳集団(シュンタックホールディングス)
取締役
STDM
パワースコア: 2,809
昨年の順位: 3
評価理由
- スタンレー・ホー(何鴻燊)博士の17人の子供の中で最も著名な人物の1人
- マカオのコンセッション保有2社およびその他多くの不動産、ホスピタリテ ィグループ株を所有
2019年初頭にフォク・ファンデーションとの同盟の一環として、澳門旅遊娛樂股份有限公司(Sociedade de Turismo e Diversões de Macau, S.A.:STDM)の事実上の過半数株式を手に入れて以来ずっと、世間の目はマカオゲーミング界の大物、スタンレー・ホー博士の娘であるパンジー・ホー・チウ・キング氏に注がれている。
STDMは、以前ソシエダーデ・デ・ジョゴス・デ・マカオとして知られていたマカオのコンセッション保有者、SJMリゾーツの支配株主だ。SJMリゾーツは、長い間ホー氏の4番目の妻であるアンジェラ・レオン(梁安琪)氏とアンブローズ・ソー氏が一方に、そしてパンジー氏とSJMの会長で、パンジー氏の姉妹であるデイジー氏がもう片方にという、不安定な同盟の下で運営されてきた。
パンジー・ホー氏率いるフォクとの同盟は、父親が創立したカジノ会社の日々の管理を担うポジションにパンジー氏が就くつもりだという憶測のきっかけとなった。ただしこれまでのところそのような動きはない。
それでもなお、59歳になってマカオでそれほどの広い影響力を及ぼす人物はほとんどいない。ホー氏のSJMへの株式保有は今のところ消極的なものである一方で、同氏は別のコンセッション保有者であるMGMチャイナの過半数株主であり積極的リーダーでもある。MGMチャイナは、長年CEOを務めていたグラント・ボウイ氏が昨年退職し、ホー氏がマネージング・ディレクターに就任した。日々の運営を引き継いだ時、ホー氏がMGMチャイナに関して、コロナ禍では実現できない大きな計画を持っていたことは疑う余地もない。同社は2020年のほとんどの期間にEBITDA損失を計上した後、2021年上半期に辛うじて黒字回復した。
具体的にホー氏がマカオについてどのような長期計画を持っているかはまだ分からない。STDMの過半数株の他に、ホー氏はMGMチャイナの22.49%の株式を保有しているものの、2016年に取得した米拠点の親会社、MGMリゾーツに持つ4.8%の株式については積極的に減らしており、2021年初めに1.96%にまで、そして1年にわたる一連の取引で、つい最近にはたった0.86%にまで引き下げた。その取引でホー氏は1億2,000万米ドル(130億円)を超える利益を手にした。
これはおそらく、同業他社のコンセッション保有者のいずれかに大きな持ち分を株主が保有することを制限するMGMチャイナのコベナンツへの特別免除を与えられているパンジー・ホー氏の影響力を示すものだ。それらの免除によって、ホー氏はSTDMでの同族経営ビジネスだけでなく、香港に上場し、彼女が取締役会長兼CEOを務める不動産・運輸会社の信徳集団(シュンタ ックホールディングス)の株式も保有し続けられる。信徳自体が、グランドラパを所有する雅辰酒店集団(Artyzen Hospitality Group)など、多くのマカオゲーミング事業者に株式を持つマカオ最大の土地所有者だ。
現在、長引くコロナ禍の影響、そして迫りくるマカオゲーミングライセンスの再入札がマカオの未来を形作っていく中で、そのように多くの大手企業に幅広く資産を持つパンジー・ホー氏が、これから12カ月の展開を注視しているのは間違いない。