マカオの法律事務所MdME Lawyersによると、各コンセッション保有者に政府代表者を任命することを提案しているマカオのゲーミング法の改正案は、両当事者によって歓迎される可能性があり、政府代表者に過度の権限が与えられる可能性は低いとのこと。
先月マカオ政府によって公表され、提案された改正案のいくつかを検討する一連の論文の2番目で、MdMEのRui Pinto Proença氏とRui Filipe Oliveira氏は、以下のように述べている。政府による代表任命の実施はすでにマカオのコンセッションの全景の一部となっており、それにはコンセッションに関連する会社の契約履行と活動を監督する代表者を含む大部分の公益事業者が伴っている。またそれはゲーミング業界にとって目新しいことではない。
SJMホールディングスの親会社であるSTDMは、2022年以前にマカオの独占カジノ事業者であったときに政府により任命された代表者がいたが、スポーツくじコンセッション保有者のマカオSLOT CoLtdと競馬コンセッション保有者のマカオジョッキークラブは、現在に至るまでそのような規定の対象のままである。
MdMEによると、政府代表者の基本目標と主要任務は、コンセッション保有者の法的および契約上の義務の遵守を監督し、そしてコンセッション保有者が追求する活動において公益を保護することである。
これには、取締役会および株主総会への参加、企業の財務調査、任務を遂行するのに必要と思われる文書および情報の請求、関連するコンセッション契約およびその修正を行う際の契約交渉への参加をする権限が含まれる場合がある。
その際その代表者は、その権限内で公益に影響を与える可能性のある状況を関連する監督機関に通知し、またそれへの対応策を提案する必要がある。彼らは、取締役会や株主総会で取り上げられた事項についても定期的に報告しなければならないが、MdMEによると、彼らは任命を受けた同社内で執行権も議決権も持たないため、取締役と誤解してはいけない。
さらに重要なことは、提案された改正案が既存の法律の範囲内に収まるべきであるならば、政府の代表者案の導入は歓迎される可能性があることだ。
「政府にとって、それはコンセッション保有者の運営に関して内部関係者の貴重な視点をもたらすかもしれない。事業者にとっては、さまざまな政府機関との連絡手段を合理化し官僚主義を弱めることができる、有能な連絡担当官としての役割を果たす可能性がある。
例えば、経営上の意思決定において議決権/拒否権を行使するなど、会社経営に関する発言を行うことでこの役割を拡大できるかもしれないという提案は、非現実的であり、既存の法律で規定されている枠組みと矛盾することになる。
そのような権力の拡大は、通常、取締役に帰属している役割と重複するだろう。このシナリオは、包括的な影響を及ぼす可能性があり、とりわけ重要なのは政府代表者の議決権/拒否権のために行われた、または行われなかった決定事項に対する責任の懸念である」。
MdMEによると、政府の協議文書は、政府代表者は観察的な性質から離れて、決定権を保持したりすることが検討されているというものではないと示しており、そのこと自体は投資家が現在抱えている懸念を和らげるはずである。
政府が提案しているゲーミング法の改正案は、現在45日間の公開協議中であり、10月29日に終了予定である。