長崎県佐世保市にあるテーマパーク「ハウステンボス」(HTB)は11日に2021年3月中間決算(単体)を発表している。それによると、本業のもうけを示す営業損益が2億1800万円の赤字(前年同期は1億6千万円の黒字)に転落した。地元の長崎新聞が伝えている。新型コロナウイルス感染拡大の「第3波」で、昨年12月下旬から政府の観光支援事業「Go To トラベル」が全国で停止となったことなどが響いた。
園内全体の売り上げを示す取扱高は前年同期比17・6%減の76億5千万円。旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)の傘下となった10年以降では3番目に低かった。経常利益は同36%減の4億1500万円、純利益は同48・2%増の6億4400万円。総入場者数は同23・2%減の79万9千人で、訪日外国人客は開業以来初めてゼロだった。
連結の取扱高は77億1100万円、純利益は16億5400万円だった。
坂口克彦社長は新型コロナワクチンの普及が業績の回復につながることへの期待感を示し職場接種を検討していることを表明。23年の株式上場を目指していることも明らかにした。
今年は夏休みイベントなどを強化する方針。21年9月期の業績見通しは、コロナが及ぼす影響が分からないとして「未定」とした。
一方でハウステンボスは11日、園内のホテル「ウォーターマークホテル長崎・ハウステンボス」の運営会社の全株式を取得し、完全子会社化したと発表した。取得は5月17日付。
ホテルは園内に立地しているため、HTBグループに加わることで、HTBブランドの構築や連動した商品の展開が可能になるとして、4月23日の取締役会で完全子会社化を決議した。株式の取得額は非公表。
同ホテルは1992年のHTB開業以来、HTBが「ホテル デンハーグ」という名称で運営。2011年からはエイチ・アイ・エス(HIS)グループ傘下の「ウォーターマークホテル長崎」が運営している。
長崎県はカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を目指し、HTB内の西側部分30ヘクタールを、その候補地としている。IR事業者選定においては▽香港と米国企業が中心のオシドリ・コンソーシアム▽オーストリアの国営企業参加のカジノオーストリア・インターナショナル・ジャパン▽香港の不動産開発企業などが中核のNIKIチャウフーグループの3グループに絞り込まれており、第2次審査の受け付けは6月21日が締め切り、8月に事業者が決まる。