アジアを拠点とするクルーズ船運営会社のゲンティン香港は、2020年12月31日終了の年度に17億2,000万米ドル(約1,900億円)の巨額の損失を出すも、金融機関から未払いの債務の再編を支援してもらえるとの確信に変わりはないと述べた。
香港に上場している同社は、フィリピンの統合型リゾート施設、リゾートワールド・マニラの合弁事業パートナーでもあり、新型コロナウイルスの感染拡大によって世界的なクルーズ船事業が停止したため、流動性を確保するべく同社グループの金融債権者への支払い全てを一時的に停止すると昨年8月に発表した。
同社は今週、2019年の損失が1億5,860万米ドル(約176億円)からさらに増えた17億2,000万米ドル(約1,900億円)と計上、収益が前年比76.5%減の3億6,680万米ドル(約406億円)になったと発表し、その苦境の全貌を明らかにした。2020年の実績は、2019年EBITDAが1億4,250万米ドル(約158億円)の黒字だったのに対し、調整後のEBITDAが3億8,580万米ドル(約427億円)の赤字となっている。
ゲンティン香港は、2020年12月31日時点での31億4,000万米ドル(約3480億円)の純負債の状況について、昨年8月から主な財務パートナーと協議を重ねており、彼らの反応が支持的であると述べている。
「全体的な提案に大きな進展があり、関連する融資者がその提案に対して信用委員会の承認を得ようとしていることから、当グループには、再編が成功裏に完了すると信じるに足る合理的な根拠がある」とコメント。
しかし同社は、新型コロナウイルスが当面の間、同グループの事業に影響を与えることが予想されるとも警告し、「不安定な状況が続いていることから、グループ全体の業績が感染拡大以前の水準に戻るには、より長い時間を要する可能性があり、世界の旅行ビジネスの状況におけるニューノーマルが、これまでに予測されていた業績を狂わせることになるはずだ。 当社グループは、2021年の不安定な状況の中で事業を慎重に進めると同時に、展開計画を引き続き適応させていく」と述べた。
ゲンティン香港の2020年の損失には、合弁事業および関連会社の損失分担5,500万米ドル(約60億9,000円)が含まれており、これは主にリゾートワールド・マニラを運営するトラベラーズ・インターナショナル・ホテル・グループの損失によるものである。