野村グループ(以下、野村と称す)のアナリストによると、ゲンティン・マレーシアは、借り換え計画にさらなる遅れが生じた場合、経営難に陥っているニューヨークのカジノ事業に、10月に最大で1億4,000万米ドル(約152億円)の追加投資の可能性があると報告。
マレーシアの大手ゲーミング会社ゲンティン・マレーシアは先週末、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、ニューヨークのリゾートワールド・キャットキルズを所有するエンパイア・リゾーツの資本力を高めるために、エンパイアのシリーズL優先株式を2,000万米ドル(約21億8,000万円)で追加購入すると発表した。同社は、エンパイアの長期借入金の借り換え計画が遅れたため、昨年9月の1億5,000万米ドル(約163億円)を含む2件の異なる取引を通じて、20年3月以降に1億9,000万米ドル(約207億円)を投資していた。
12カ月間の関連者間取引が会社の純簿価の5%を超えた場合に少数株主の投票を必要とするマレーシア証券取引所の規則により、この1億5,000万米ドル(約163億円)によってさらなる投資が生じる余地はない。
野村のアナリストであるトゥーシャー・モハタ氏とアルパ・アガワル氏によると、金曜日の2,000万米ドル(約21億8,000万円)の投資額は、21年9月までの12ヶ月間の累計で純資産の4.8%を占めることになるが、もし借り換えが迅速に行われなければ、10月にはエンパイアを再びてこ入れする必要が出てくる可能性があるという。
「エンパイア・リゾーツは、アメリカでのワクチン接種の普及で事業の見通しが向上することから、それまではリゾートワールド・キャットキルズの長期借入金の借り換えを完了させようとするはず」と、両氏は述べた。しかし、「21年9月までに借り換えが遅れた場合、我々の計算に基づくと、ゲンティン・マレーシアは少数派の投票を求めることなく、同年10月頃にエンパイアに1億4,000万米ドル(約152億円)の追加資本注入を理論的に行える」。
ゲンティン・マレーシアはエンパイア・リゾーツからの損失の分配を受けたことが主な理由で、21年度に2億3,800万リンギット(約63億円)の損失を計上する、と野村は予想している。