都道府県は、日本政府が発行する誰もが望む3つのカジノライセンスの1つ手をあげるための条件として、候補事業者パートナーに課せられた厄介な開発者負担金のいくつかを再検討した方がいいかもしれない。
ついに、大きく遅れていた日本の許認可プロセスが前進しはじめているようだ。長崎県は先週、ゲーミング事業者5社が県の評価・選定プロセスへの参加登録をしたと発表した。勝者は県と提携して、日本政府が発行するカジノライセンス獲得を目指す権利を手にする。しかしながら、事業者は候補地周辺の交通環境改善のために長崎県への約147億円の費用負担を求められること明かされ、最初に生まれた勢いというものは直ちにスローダウンした。
大阪の夢洲での潜在的な統合型リゾート開発を目指しているMGMリゾーツ-オリックスのコンソーシアムに対しても同様の負担金が示唆されている。人工島である夢洲への地下鉄延伸には200億円程度かかると見積もられている。けれども、その総額が規模としてはさほど変わらないように見える一方で、長崎の負担金はプロジェクトの総工費の10%ほどにものぼる可能性があり、大阪での総工費に占める割合の3倍以上になり得る。
地方行政にとっては潜在的な恩恵として歓迎されている一方で、日本政府のカジノ構想は今なお国民の大半の間は非常に評判が悪いままだ。国内で盛り上がりに欠けていることによって、政治家は政治的には都合がいいが実際には現実的でない高圧的な要求をし、ともすれば政府の責任であるはずのインフラ改善の重荷を不必要に開発会社に背負わせている。
全く驚くべきことではない一方で、それは大規模IRプロジェクトがどのように開発され、資金調達され、そしてどうその運営を成功させるかということを地方行政が勘違いしているもう一つの例だ。最終的にプロジェクトを無事完成させるチャンスを低下させる厳しい費用負担を積み重ねるよりも、都道府県は事業者に公債、またはプロジェクトの完成に重きを置く別のインセンティブを与えることを考えることができるのではないか。予算内でオープンさせる。ゆえに期限に間に合い、それによって貴重な税収の出来る限り早い創出を確保する。
長崎県は、ウィン・リゾーツ、ギャラクシーエンターテインメントグループそしてゲンティン・シンガポールといったこの業界の最大手企業の全てがその評価プロセスへの参加を見送った理由を考えるといいだろう。どちらかと言えばたぶん、佐世保市が遠隔地であること、獲得可能な市場規模、潜在的な開発費そして関連する予想リターンがそれら由緒ある企業の社内投資要件に見合わなかったのだろう。
その都道府県をIR開発候補地として選ぶには一部歴史的な理由付けがあるかもしれないが、その固有の競争優位性よりもむしろ、さらに遠い立地というのはおそらくより大きく関係しているだろう。江戸時代、日本を構成する主な島の中で最南端かつ孤立していたために、九州の長崎は通商が認められていた唯一の地域だった。規制機関は、違反すると拘留、投獄または死刑に処すと脅して、外国の活動を監視しその地域のほんの一部のエリアに制限していた。税やその他輸入関税が徴収されてもなお、外国人はそのエリアに入ることができなかった。それと同じ構造で、九州の中心から遠く離れた最西端の場所にIRを建てることは、国内からの観光、それに関連する商取引高を制限し、そして潜在的な不正行為を監視するに都合のいい見晴らしのいい場所を警察庁に与えるといった点では便利かもしれない。しかし確実に、プロジェクトを主要都市圏の近くに置いた場合ほどの利益は生み出さない。これが、当局が何を本当に重視しているかを示唆しているかもしれない。
日本政府がIRの成功を見ることに固い決意を持っているのなら、確実にプロジェクトを無事完成させるために資金調達を助け、柔軟性のない規制を緩和し、協力するなど、信頼できるパートナーとして業界と歩調を合わせ、先行投資型のひどく高額な開発者負担金という形での地方政府による厳しい要求は排除するだろう。