中国が計画している政府支援による公式デジタル人民元の2024年までの導入が、マカオのカジノ業界にとって大筋ではプラスになるものとして形を成しており、特に高マージンのマスとプレミアムマス区分にとって利益が大きいということになり得る。
投資顧問会社サンフォード C バーンスタインが金曜公表した長文のリサーチレポートによると、中国人民銀行と共に開発されたデジタル人民元は、決算システム全体を見直すことでマカオにとってのゲームチェンジャーとなる可能性を秘めており、マカオの主要通貨であるパタカを置き換える可能性すらある。
中国が本土全土での利用開始時にどれくらい厳しい資本管理体制を維持するかに注目が集まるであろう一方で、デジタル人民元がマカオの法定通貨になる可能性は、本土の客によるマカオのカジノ内での資金アクセスのし易さへの扉を開くことにもなる。
レポートの中で、6人のバーンスタインのアナリストから成るチームは、「人民元がマカオで法定通貨になるとなれば、デジタル人民元の使用への道も開かれる。
カジノという観点から、これは例えば、香港ドルに両替する必要なく、(デジタル)人民元を使用して、瞬時にカジノ両替所から(またはテーブルにおいてからでさえ)プレイ用のチップを直接購入できるということを意味する。
マカオの主要顧客集団(中国本土からの客)から通貨両替の必要性を無くすすることは、プロセスを単純化させ、外貨取引手数料の顧客に負担させないということからもメリットがあるだろう。
デジタル人民元によって、政府は金の流れをより詳しく調べ、管理することができるようになる。しかし、またより容易に送金できるようにもなり、(ジャンケット、地下銀行または質屋といった)仲介業者使用の必要性を排除してくれる。
マスおよびプレミアムマスプレイは金の流れが容易になることから確実に恩恵を受けることができるだろう。
そのようなシナリオが現実になるための鍵は、中国が資金管理を緩和することにかかっている。しかしながらこれは突拍子もないコンセプトというわけではない」。
レポートには、「中国は国の経済発展にむけて安定した財政環境を作り出すために国際化の道を進み続けるつもりだ。国際化の重要な内容の1つは、資金管理の廃止(または重度の削減)である必要があるだろう」と書かれている。
「それが起こるとすれば、そしてマカオが最終的に人民元を自地域の通貨として採用した場合はさらにそうなる可能性が高くなるが、マカオカジノ業界への影響は劇的で、現在知られる形のジャンケットというものに終わりを告げる可能性がある。
ジャンケットを使う主な理由、人民元を中国からマカオへと移動できる能力というのが、ほとんど必要なくなる」バーンスタインはそう述べている。
「ジャンケットはまだ信用貸付とマーケティングという役割を担うことができる一方で、ジャンケットの仲介の必要性というのは大幅に小さくなり、大半のカジノ事業者は、ここ何年もすでにトレンドになっているようにプレミアムマスやプレミアムダイレクトを通じて直接的に顧客との関係を結ぶ方向へとシフトするだろう」。