澳門科技大学医学部(MUST)が中心となって行なっている新型コロナワクチン開発へのゲームチェンジャーになり得る研究に関わった科学者たちが、研究での重要な発見について説明し、ワクチン大量生産が近い将来可能になる可能性があることを示唆している。
Inside Asian Gamingがこれまでに伝えた通り、中国本土および香港の科学者と共同で研究を進めるMUSTの研究チームが、ウイルスが宿主細胞と結合し、感染を引く起こす際に使用するスパイクタンパク質・受容体結合ドメイン(S-RBD)の中に見つかった特定の残渣を使って開発されたワクチンが、免疫マウス、ウサギそしてサルで「強力な機能的抗体反応」を誘導したことを発見した。
これらの抗体が、実際にS-RBDが主細胞受容体と結合するのを阻害するために、実験室の研究中にウイルスの中和が確認された。
同チームの研究の査読結果は先週水曜の7月29日に、英科学誌ネイチャーに掲載された。
その研究内容をさらに詳しく説明するプレスリリースの中で、合同研究チームを率いるMUSTの張康(Kang Zhang)教授は、「我々の発見は、SARS-CoV-2(COVID-19)のワクチン設計におけるRBDドメインの重要性を際立たせ、RBDドメインに対する抗体誘導を通じた予防ワクチン開発に論理的根拠を与えてくれる。
この研究の目的は、ワクチン候補の可能性を、SARS-CoV-2のRBDドメインを基に評価すること、適切な投与方式を評価すること、そしてレシピエント動物の体内でSARS-CoV-2に対する中和活性を作り出す効果を検証し、免疫応答の発生に関わる免疫経路を究明することで、効果的なSARS-CoV-2予防ワクチン設計のための基盤を提供することだった。
同ワクチンは、サルを含むワクチンを投与された動物で高い効果が見られ、完全に感染予防ができた」と述べた。
香港理工大学の応用物理・化学技術学部の非常勤教授である劉耀南(Johnson Lau)博士は、組み換えRBDワクチンの製造で使用されるバイオテクノロジー方式は、ワクチン大量生産の助けとなる成熟した技術であり実行可能なもの、そしてCOVID-19との戦いに実用的な解決策を与えると期待されていると説明した。
香港理工大学の常務兼学務副校長、衛炳江(Alexander Wai)教授は、同ワクチンが「このパンデミックに打ち勝つために最も適したワクチンの選択肢」になると述べた。
MUST医学部の学部長、霍文遜教授によると、次のステップは大量生産をはっきりと目指して治験を開始することだという。
霍教授は、「前へ進むためには、間もなく開始される予定のヒトでの臨床試験でワクチンの有効性を評価し、それを立証する必要がある。
我々の協調した努力によって、新型コロナワクチンにおける今回の画期的前進を成し遂げることができた。我々は集団予防接種が近いうちに実施できることを願っている」と述べた。