メルコリゾーツファイナンスが、シニア債発行で5億ドル(約536億円)を調達する計画を発表した。同社はマカオの統合型リゾート、シティー オブ ドリームスとアルティラ・マカオを運営するメルコリゾーツ&エンターテインメント(MRE)の100%子会社。
利率5.750%、2028年満期のシニア債で調達される資金は、メルコリゾーツファイナンスの子会社であるMCOノミニー・ワンが2020年4月29日に交わしたシニアファシリティ契約の下での回転信用枠で未払になっている元本額の返済、および一般の企業目的に使用されるとメルコは述べた。
今回の社債発行は、メルコリゾーツの別の子会社であるスタジオシティ・インターナショナル・ホールディングス(スタジオシティの運営会社)が一連の私募による5億米ドルの独自資金調達計画を発表してからたった1週間後の発表となる。
格付機関のムーディーズは火曜、メルコリゾーツファイナンスの社債発行とスタジオシティ・インターナショナル・ホールディングスの株式発行によってメルコリゾーツのグループ全体の流動性がさらに強化されると述べた。
ムーディーズは、「2020年3月末時点の使途不指定の連結現金12億米ドル、5年の新規回転信用枠19億米ドル、そしてクラウン・リゾーツに持っていた株式処分による調達金約3億5,500万米ドルなどのメルコリゾーツ&エンターテインメントの流動性供給源が、少なくとも今後12カ月間の潜在的キャッシュバーンに対する十分な備えを与えてくれる」と述べた
しかしながら、メルコが20年第1四半期に収益が8億1,100万米ドルへと41%減少し、EBITDAは5,500万米ドルへと86%減少したことを報告したことで、まだ一部リスクは残っている。
同格付機関は、「ムーディーズは2020年第2四半期に同社がマイナスのEBITDAを計上すると予想している。
収益の鈍化がグループが計画していた資本支出と相まって、十分な回復が定着するまで大幅なマイナスのフリーキャッシュフロー、および純負債の増加という結果につながるだろう。
ムーディーズがMREの収益およびキャッシュフローが2020年下半期から徐々に改善すると予想する一方で、2021年の同社の財務指標は2019年の水準を下回る可能性が高い。また、この回復想定には重大な下振れリスクがある」と述べた。