格付機関のムーディーズによると、2020年、アジア太平洋地域に向けて事業を行うゲーミング企業のEBITDA集計が、およそ7割減少する傾向で、来年から段階的に回復するという。
先週公表された研究結果の中で、ムーディーズは「海外旅行の減少、施設の閉鎖、そして大多数の国での社会的距離確保措置の継続によって、ゲーミングセクターの見通しは、このセクターが消費者需要に左右されやすいことを考えると、少なくとも2021年までは暗いままになるだろう」と指摘した。
今回の評価に含まれるのは、同格付機関がカバーする以下の9社。ラスベガス・サンズ、MGMリゾーツ、ゲンティン・バーハッド、ゲンティン・シンガポール、メルコリゾーツ&エンターテインメント、スタジオシティ・ファイナンス、ウィン・リゾーツ・ファイナンス、ナガコープ、そしてクラウンリゾーツ。
ムーディーズによると、新型コロナウイルスの世界的流行によって、これら9社のEBITDA集計が、2019年の145億米ドル(約1兆5,539億円)から2020年には40億米ドルを少し超えた程度にまで落ち込むと予想できる。
しかしながら、ムーディーズが2020年下半期に収益が改善し始めると想定していることを考えると、状況はそれよりも悪くなる可能性がある。2021年の収益が過去数年よりも低くなることは間違いないと同時に、さらなる下振れリスクは、「特にこのパンデミックが抑制できず、ロックダウンが再び実施されなければならない場合には、重大な影響を与える」
ムーディーズは、ゲンティン・シンガポールが9社の中では依然、新型コロナ禍を乗り切るのに最も良い状態にあり、配当の支払いや支出の拡大がないという想定で、収益ゼロのまま3年以上持ちこたえるのに十分な流動性があると付け加えた。反対に、スタジオシティ・ファイナンスの流動性は、現在の状況が改善しなければ1年以内に底をつく可能性があると述べた。