日本の統合型リゾート(IR)事業で、内閣府のIR担当副大臣だった秋元司・衆議院議員(贈収賄容疑で逮捕)に300万円を渡したとされる中国企業「500.com」(本社・中国深セン)側が別の5人の衆議院議員にも100万円ずつ提供したとするメモを作成していたことがわかった。メモを入手した東京地検特捜部は昨年末に5人を任意で事情聴取し、複数の議員が受領を認めたという。読売新聞が報じた。
同紙によると「500.com」社側は、東京地検特捜部に対し、秋元司容疑者(48)に300万円、中村裕之氏(58)(自民、北海道4区)、岩谷毅氏(62)(自民・大分3区)、船橋利実氏(59)(自民・比例北海道)、下地幹郎氏(58)(維新、比例九州)、宮崎政久氏(54)(自民、比例九州)の5者側に100万円ずつを提供したと説明したという。
一連の資金提供は、北海道や沖縄でのIR参入を目指していたとされる「500.com」社の元顧問・紺野昌彦(48)、同・仲里勝憲(47)の両容疑者が2017年9月から10月にかけて議員側に提供したとされる。
しかし、岩屋前防衛相は「何かを頼まれたことは一切ない。便宜を図ったこともない。私は天地神明に誓って、一切不正に関わっていない」と述べており、船橋利実衆院議員も「金銭を受け取った事実はなく、便宜を図った事実もない」とコメントしている。中村裕之衆院議員は、今回の事件で家宅捜索を受けた観光会社の代表から、200万円の寄付を受けたことは認めたが、中国企業からの資金提供は否定している。
政治資金規正法では、外国企業による政治団体への寄付を禁止しており、東京地検特捜部は同法違反にあたるかどうかを慎重に調べている。
「500.com」社は、深センを本拠地とするオンラインスポーツくじ企業。同社は12月31日、子会社の「500ドットコムジャパン」の元取締役と元顧問3人を調査する特別調査委員会を設置。チェン・ジュドン取締役会長は12月30日付けで辞任すると発表し、潘正明・最高経営責任者(CEO)は、調査終了までの間、一時的に役職を離れる。「500.com」社はニューヨーク証券市場に上場しており、今回の成り行き次第では米国の「連邦海外腐敗行為防止法」(FCPA)により罰則を受ける可能性もある。また、1月2日、同社の株価は11%近く急落した。