大阪府市がIR実施方針案公表　誘致自治体で初

　IRのフロントランナーを自負する大阪府と大阪市は21日、大阪・夢洲への誘致を目指すIRを巡り、事業者に求める条件を定めた実施方針案を公表した。誘致に乗り出している自治体では初めて。開業時期については「2025年大阪・関西万博前を目指す」と目標を記すにとどめた。来月示す公募の募集要項でも、具体的な時期を明記するのは極めて困難とみられる。毎日新聞などが伝えた。

　夢洲で開く万博との相乗効果を狙う府市は、24年度中のIR全面開業を目指すが、工期が短く、万博の会場整備とも重なることから、事業者は懸念を表明。府市は来年6月ごろに事業者を選定するが、政府による立地地域（最大3カ所）の選定は21年度以降になる見通しで、厳しい日程調整を迫られている。

　吉村洋文知事は、この日の定例記者会見で開業時期について「不確定要素がある中で絶対条件にしても事業者が応募できなかったら意味がない」と述べ、開業時期の義務づけは見送る意向をにじませた。

　松井一郎市長も「国の認定も受けておらず、今の時点で誰も確定的な日時を正式に表明できない」と言及。「幅を持った時期が事業者から提案されるのではないか」との見方を示した。

　府市ともに25年春の全面開業を目指しつつ、ホテルや国際会議・展示場のみの部分開業も是とする構えで、「万博前」にこだわる姿勢を強調した。

　実施方針案では、カジノ以外に6,000人以上を収容できる国際会議場や10万平方メートル以上の展示施設、3,000室以上のホテルなどを備えることが条件。事業者には、インフラ整備（地下鉄中央線の延伸）の一部（約202億円）や府市が代行する環境影響評価（アセスメント）の事前調査費などの負担を求めた。

　また、カジノ事業の収益を施設整備や隣接地の開発、府市の政策への協力などに充てる「再投資義務」も盛り込んだ。