万博・IRの予定地「夢洲」が商業地域に変更

　2025年「大阪・関西万博」の会場予定地として、また大阪府・市がIR誘致を目指すエリアとしても注目されている大阪市此花区の人工島「夢洲」（約390ヘクタール）について、大阪市都市計画審議会は10日までに工業地域、準工業地域に指定されている計143.3ヘクタールの土地を商業地域へ用途変更することを承認した。毎日新聞、日本経済新聞が伝えた。

　夢洲を国際観光拠点として整備を進めるための行政手続きの一環で市によると、対象は万博会場予定地の一部を含む準工業地域（107.7ヘクタール）と工業地域（35.6ヘクタール）。これにより、容積率や建ぺい率が緩和され、規模の大きな施設を建てられるようになる。また、24年の開業を目指すIR予定地の夢洲北部を一周できる環状線の車道も整備。その一方で学校や風俗店などを規制することも盛り込んだ。

　市都市計画課は「都心に近接し、広大な用地を確保できる臨海部で、新たな国際観光拠点の形成を目指して合理的な土地利用を誘導する」と説明し、用途変更は賛成多数で可決された。

　市は夢洲のインフラ整備の総事業費を計954億円と想定。土地の埋め立て造成のほか、夢洲と市内をつなぐ大阪メトロ中央線の延伸を計画しており、約200億円の負担をIR事業者に求め、”内諾”を得ている。

　一方、市民団体「夢洲の都市計画変更を考える市民懇談会」からは南海トラフ地震による津波や液状化の危険性▽土壌汚染の可能性▽絶滅危惧種の野鳥の生態系への影響などから反対の声も出ている。