横浜市がIRを誘致する方針を固めたことが18日、分かった。地元の神奈川新聞が伝えた。林文子市長が近く表明する。長く「白紙」としてきたが、超高齢化や人口減で厳しさが増す財政事情を踏まえ、IRが地域経済や観光の振興、税収の確保につながると判断した。庁内に専門部署を新設し、体制強化も図る。ただ市民の間には「カジノ=賭博場」との受け止めや、ギャンブル依存症などへの懸念が根強くあり、市民を巻き込んだ広い議論を求める声が強まるのは必至だ。
市は9月2日開会の市会第3回定例会に、2億6千万円の一般会計補正予算案を提出する方針。47ヘクタールの敷地面積を持つ山下ふ頭(同市中区)を立地場所とし、議会の承認が得られれば、事業者の公募や選定に向けた準備などに着手する。
市長はIR誘致に対し、前向きな態度を示した時期もあったが、2017年夏の市長選を前にトーンダウンして以降、一貫して「白紙」の立場を強調してきた。その市長が誘致へとかじを切った背景の一つに、国の動向があるとみられる。
18年7月に成立したIR整備法は、自治体の申請や国の認定など開業までの一連の手続きを定めたもので、整備区域は全国で最大3都市としている。第1弾の開業時期は20年代半ばと見込まれ、国は整備区域の選定基準などを定めた「基本方針」を本年度中にも決定する見通しだ。
これを受け、誘致を巡る自治体間の動きが今後さらに活発化することが予想される。実際、幕張新都心への導入を調査してきた千葉市は今月に入り、民間事業者に情報提供を求める方針を打ち出した。横浜市も早期に表明し、他の自治体に後れを取ることなく準備を進めるべきと判断したとみられる。
IR誘致を巡ってはすでに大阪、和歌山、長崎が名乗りを挙げているが、横浜が表明すれば、他の自治体へ影響は少なくない。