「日本型IR」コロナ収束後を見据え、安倍首相「丁寧に準備進める」

　安倍晋三首相は9日の衆院予算委員会で、カジノを含む統合型リゾート（IR）に関する野党議員の質問に対し「（IR事業者も）コロナの影響は確かに受けている」との認識を示した上で「新たに生じうる諸課題も踏まえ、必要な準備を丁寧に進める」と述べた。

　質問に立った立憲民主の辻元清美議員から「カジノにしがみつきすぎる」と方向転換を迫られたが、安倍首相は「新型コロナの収束後は観光業が再び回復していく。IRは観光先進国の実現を後押しするもの」と中長期的にはIRは必要との見解を示した。

　さらに、立憲民主の渡辺周議員からは「コロナのさなかにカジノかよ、と言う声がある。カジノを成長戦略の柱にするのはいかがなものか。カジノの動きを凍結し、カジノ管理員委員会に使われる予算38億円、人員100人をコロナ対策に回すべき」との提案があった。これに対し、観光立国を推進する菅義偉官房長官は「スケジュールの変更はない」と答えた。

　政府は当初、基本方針を1月に決める予定だったが、年明けの「カジノ疑惑」と、直後のコロナ禍により、大幅な遅れが生じているのは確か。すでにiagでも「7月以降にずれ込む」と報じている。

　赤羽一嘉国土交通相は日本IRの開業時期について「おそらく2020年代後半に想定されている」とあらためて明示した。最大3カ所とされる国内のIRを巡っては大阪府市、横浜市、和歌山県、長崎県が誘致に名乗りを挙げており、政府の方針を注視している。