新型コロナウイルスの世界的大流行に対応して、フィリピン主島のルソン島全域ではコミュニティ隔離が実施されている。このことによって、ゲーミング規制機関のPAGCORが所有する47のカジノを売却するよう求める声が再びあがりはじめている。
昨年発表された数字が政府が、民営化によってさらに年間3,000億比ペソ(約6,389億円)の収入を集めることができることを示しており、フランクリン・ドリロン上院議長はその数字を引き合いに出し、PAGCORののカジノ営業および国家慈善宝くじ事務局(PCSO)を国有資産だとして、新型コロナウイルスとの闘いに必要な資金を支えるために即座に売却することができると述べた。
CNNフィリピンによると、ドリロン上院議長は、「政府はさらなる収入を得るためにあちこち探しまわる必要はない。政府にとってすぐに収穫できる『低い所に実った果実』があり、この国がパンデミックを生き延びるために本当に必要としている資源を提供することができる」と発言した。
同氏の発言は、財務省が昨年9月に、PAGCORのカジノを民営化し、同機関には代わりに規制関連業務にのみ集中してもらうという2016年の提案を再検討すると約束したことを受けてのものとなる。この提案はまた、スモール・タウン・ロッタリー(小規模宝くじ店:STL)の民営化も求めており、カルロス・ドミンゲス財務相は、政府がカジノおよびSTL営業を外部委託することで年間3000億比ペソの収入を得ることができるとする政府調査を引用した。
PAGCORのアンドレア・ドミンゴ会長兼CEOは2018年、Inside Asian Gamingに対して、PAGCORが持つカジノの売却は、同機関が生み出してきているゲーミング収益が拡大していることから保留になっていると述べていた。
ドミンゴ会長はその際、「なぜならPAGCORが所有・運営してきたカジノが今なお利益を生んでいるから、今後数年間、そこから生まれるGGR(ゲーミング粗収益)は100%、直接政府へと行くと思う。
IRでは、GGRの中での我々のシェアはおよそ19.5%。だからもしその数字、そして毎年の中央政府への貢献額をよく調べて、もしこれを除けば、新しいIRがその額を貢献するには5年間かかることになり、それは自動的に我々の政府への正味の貢献額を少なくとも今後10年間220億比ペソ減らすことになる」と述べた。