和歌山IR誘致へ加速　用地77億円で購入プラン

　和歌山県は26日、IR誘致に成功した場合に、用地となる人工島の約21ヘクタールを「和歌山マリーナシティ」から77億円で購入する方針を明らかにした。全国の自治体間の誘致競争が激化する中、IR事業者からの要望に応え、進出しやすい環境を整える。日本経済新聞が伝えた。

　購入費用を債務負担行為として設定する2019年度補正予算案を12月3日開会の12月県議会に提出する。補正予算案が可決されれば来年2月までに地権者と仮契約を結ぶ。誘致に成功しなかった場合は購入しない。

　和歌山県は18年5月にIR基本構想を策定するなど、全国でもいち早く誘致活動を進めている。国はIRを運営する事業者の選定基準などを定めた基本方針を1月にも決める。基本方針が出れば、県は事業者公募のための実施方針案を早期に公表する方針だ。

　IR誘致をめぐっては同じく先行する大阪府市が国の決定を待たずに今月、実施方針案を発表している。和歌山県は既にIR基本構想を策定済みで、県幹部は「基本方針が出れば、すぐに実施方針案を出すことができる」としている。

　和歌山県はIRと高野山や白浜などの観光資源と組み合わせる「リゾート型IR」を提唱している。関西国際空港から近いといったポイントもアピールしている。またギャンブル依存症対策でもIRカードを発行する独自案を既に発表。カジノ利用者はカードに現金をチャージし、その金額内で遊ぶという構想を掲げる。

　県は和歌山のPRと地元の理解促進のための取り組みも進めている。昨年から4回にわたりIRシンポジウムを開き、仁坂吉伸知事やIR事業者などが参加した。8月にはIRについての有識者会議も開いている。

　和歌山IRを巡っては、すでに仏バリエールグループ、香港・マカオのサンシティグループが参入を表明している。