マカオ特別行政区政府が12月、ゲーミング法公開協議最終報告書を公開した。その中には配当金支払いを制限する提案に関する政府の見解への興味深いヒントが含まれていた。
2021年12月23日、ゲーミング法公開協議最終報告書が公開された。2022年3月の期限までかなり余裕がある中で思いがけず早い時期に公開されたことで、マカオ政府は、現行のコンセッションが2022年6月26日に期限切れを迎える前に、ゲーミングコンセッションライセンス再付与プロセスを一生懸命完了させようとしていることが充分すぎるほとに明らかになった。
それは、マカオ政府が9月14日深夜に協議文書を公開して以降、良くても不安感(そして最悪の場合には明らかなパニック)とともに反応してきた世界の投資コミュニティにいくらか安堵感も与えた。当時IAGが伝えた通り、その際の投資家たちの最初の反応はマカオのゲーミング株の売却で、マカオゲーミングコンセッション保有6社の香港上場法人の時価総額のうちの26% 、または184億米ドル分が2021年9月15日のたった1日で消失した。
このパニックの大部分が6つの重要な問題によって引き起こされた。その大半がそれ以来、マカオゲ ーミング監察協調局(DICJ)または経済財政庁によって、少し触れるか、またはより実質的に引き合いに出されてきており、最終的な結末は市場が当初恐れていたほどは悲惨ではないかもしれないということが示唆された。
しかしながら、1つ、目につく例外があった。協議文書の3.3項で挙げられた問題、コンセッション保有者が配当金宣言前に政府の承認を得なければならないという提案だ。その提案の日本語訳が以下の通り:
「コンセッション保有者が、マカオの継続的かつ多様な発展の促進において、ゲーミング事業から得た利益をより活用できるよう、現金または株式で支払われるかどうかに関係なく、利益を分配する際には、前もって特定要件を満たし、特別行政区政府から事前承認を得なければならないということが推奨される」
協議文書のすべての提案の中で、この「配当金承認」制度が最も大きな懸念を生み出した。そしてそれにはもっともな理由がある。
提案に関するパブリックコメント
協議期間中のパブコメは多かれ少なかれ、様々な協議文書提案に対する反対よりも賛成の声の方が多かった。ただし配当金承認提案を除いて。最終報告書は、この提案に関して出された46の意見のパブコメを載せており、18人(39%)が賛成で28人(61%)が反対だった。マカオ政府は、提案に反対する意見の公開において透明性を確保したことについては称賛されるべきだ。
政府の回答
政府は、配当金承認提案に関する世間の意見に対する分析および回答を出しており、その中にはただ単に当初の協議文書と一致するものもあった。
しかしながら、一部新たな情報が公表された。政府の回答にはこのように書かれていた。
「協議期間中に集められた意見は、制限案に賛成しておらず、反対の主な理由は、自由市場営業に干渉するものであり、コンセッション保有者の投資の意図に影響を与える可能性があるというものです。
特別行政区政府は、様々な利害関係者によって出された懸念や提案を検討し、包括的に全体的な改正内容を分析し、プラスとマイナスの影響を評価して(中略)、関連する利害を保護するために法律を改正します」
お気づきだろうか?改正がくつがえせない事柄として示されている。政府は、「はい、反対意見には耳を傾けますが、いいですか、いずれにせよこれに関してゲーミング法の改正は行います」と言っている。
回答には「ギャンブル業界は特別な業界です」とも書いてある。 これは、「はい、我々の提案は通常の自由市場原則に反する、そして通常のマカオ商法にさえも反することは理解しているものの、ゲーミングは『特別』であり、それこそがこれをするための理由です」とも言い換えられるかもしれない。
重要なメッセージ
しかし、良いニュースもある。政府の回答の中での重要な文章がこれだ。「配当金を制限する方策は、通常のビジネス慣行からの妥当な利益分配を妨げるために設計されたものではなく、コンセ ッション保有者が法律で、そしてコンセ ッション契約の下で定められたその義務を果たすための充分な財源を持っていることを保証するために作られたものです」
これは、全員が待ち望んでいた答えだ。もし信じるのであれば。それは、この方策の意図が「通常のビジネス慣行からの妥当な利益分配を妨げるために設計されたのではない」ことを明確にしている。 彼らは、ただコンセッション保有者に支払い能力があり、政府がしてもらいたいことをするための手元資金を持 っていてほしいのだ。だから、もしこれを信じるなら、そしてマカオのゲーミングコンセッション保有者が歴史的に「法律で、そしてコンセッション契約の下で定められた義務を果たすための充分な財源」を持っていたならば、配当金に関して政府承認を義務付けるこの提案はマカオの事業者にとって何ら実質的な変更にはならないと考えるべきだ。
政府がこの解釈を言い表したのは初めてのことであり、市場をなだめるのに大いに役立つはずだ。市場の洞察力が充分に優れていて、行間を読み、そのメ ッセージを受け取ることができるならの話だが。
明確になるまでの次の一歩は、改正案が公開されるまで待つこと。そうすればその政策意図を実施するために下書きされた正確な言葉を目にすることができるだろう。そして、もし我々がうすうす感じていることが正しければ、早ければ今月にもそれを目にすることになるかもしれない。