佐世保市のハウステンボスへの誘致を目指しているIR(カジノを含む統合型リゾート施設)について、長崎県は10日、来年4月28日までに国へ提出する「区域整備計画」の素案を明らかにした。
素案は、県と、IR設置運営事業予定者である「カジノオーストリア・インターナショナル・ジャパン(CAIJ)」が作成した。CAIJはオーストリア国有のカジノ運営企業であるカジノオーストリア(CAI)グループの強みを活かす。
エリア全体の広さは、約32万平米へと増加した。IR施設の床面積合計は約55万平米となる。
事業規模は約3,500億円、年間来訪者数約840万人、経済波及効果(運営)は年間3,200億円(九州)、施設内雇用者数約1万人、雇用誘発効果(運営)約3万人、県納付金・入場納入金は年間300億円を見込む。
JRハウステンボス駅からIR施設までの移動手段としてロープウェーの整備を検討。CAIJは長崎空港周辺の港湾施設や上下水道などのインフラ整備として147億円を負担する方針。
国際会議場を備えた MICE施設は丸みを帯びた特徴的なデザインへと変化した。CAI及びオーストリア国有企業との連携体制をとり、国内外のMICEやイベント誘致を推進する。
魅力増進施設である「ジャパン・ハウス」は地下1階から地上6階と屋上からなり、総面積2.3万平米を誇る。伝統芸能、クールジャパンなど日本・九州・長崎が誇るコンテンツと最先端技術を掛け合わせて新しい魅力として発信する。
宿泊施設はラグジュアリーホテルチェーンからヨーロッパ風、高級温泉旅館まで「真の和洋折衷」のコンセプトのもと、2,000室以上の多様な選択肢を用意する。現段階では、オーストリアの五つ星「ホテル・ザッハー」が進出予定であることが明らかになっている。また、温泉地に長期滞在して温泉療養を行う「湯治(とうじ)」の文化を表現した医療機関連携型の高級温泉旅館なども非常に特徴的だ。
カジノ施設はIR施設の一番奥に配置される。顧客層に応じたフロア区分(1階から3階まで)がなされ、時計の設置、周辺へのATM設置禁止、賭け金額や滞在時間の上限設定など依存症対策にも力を入れる。
今後、県とCAIJは案を練り込み、2022年3月の県議会での議決を目指す。ただ、資金調達や運営主体の構成企業などに関した具体的な情報を求める声も出ている。日本経済新聞のインタビューの中でCAIJの林明男社長は「2022年3月の長崎県議会まで企業名は明かせない」と述べている。
今回IAGが、CAIJの資金調達について長崎県の関係者に質問したところ、「(資金調達の)確度を上げているところ」との回答に留まった。
国への区域整備計画の認定申請期限は2022年4月28日。