タイの国会は先週、ほぼ全会一致でカジノゲーミングの導入検討を決定した。
バンコク・ポスト紙によると、外国人観光客の誘致と地域経済の活性化を目的とした、カジノを併設する統合型リゾートの提案を検討する臨時委員会の設置が衆議院で決議されたとのこと。このようなシナリオが実現した場合、法制化されるカジノリゾートの数や設置場所はまだ分かっていない。
タイでは以前からカジノが注目されていたが、2016年に亡くなったプーミポン・アドゥンヤデート国王が強く反対していたこともあり、遠い夢のように思われていた。
しかし、新型コロナウイルスが感染拡大する中で、この問題は勢いを増しており、プラユット・チャノチャ首相は1月に、増え続ける違法賭博場を抑制するために、この論争的な方策の検討を示唆した。
注目すべきは、同首相と副首相でパラン・プラチャラート党(PPRP)の党首であるプラウィット・ウォンスウォン氏の両者が先週この問題について質問された際に、同首相が「国民の問題だ」とだけ述べて話をそらしたこと。
しかし、同首相は、タイにカジノがないからといって、国民がギャンブルをすることを妨げるものではないと指摘した。
「周りの国を見てほしい。タイ国民もそれらのカジノを訪れている」。
臨時委員会は60人のメンバーで構成され、そのうち15人は内閣の代表、残りの45人は各政党の代表となる。同紙によると、この調査はカジノゲーミングを合法化するために必要な法改正や、他国におけるIRの社会的・経済的影響などを調べるもので、わずか90日で完了するという。
タイはアジアにおいて、カジノゲーミングの数少ない未開拓の大きな機会と考えられており、これまでにもラスベガス・サンズ(LVS)で注目を集めてきた。LVSは2019年に入ってから、タイの主要都市、できればバンコクでのカジノリゾート開発に興味があるとコメント。今年初めにラスベガスの資産を売却して現金が潤沢になったLVSは、その興味をさらにかき立てるかもしれない。
タイはインドネシアやブルネイと並んで、合法的なカジノを持たないASEAN3カ国の1つだが、成人人口の半数が違法な手段でギャンブルをしているとも言われている。タイの人口は約7,000万人で、世界で20番目に人口の多い国である。