取締役兼CEO
ウィン・リゾーツ
CEO兼執行役員
ウィン・マカオ
パワースコア: 1,344
昨年の順位: 8
評価理由
- 最近の会社作立て直しに係り、ウィン・リゾーツ取締役会の刷新を監督してきた
- 2002年にウィン・リゾーツに加わって以来、長年会社に尽くしてきた
マット・マドックス取締役兼CEOは、今後数年の間に「船長」と呼ぶに充分ふさわしい人物になるかもしれない。2018年2月にトップの座に就いて以来、荒波の中ウィン・リゾーツという船の舵取りをしてきた。
マドックス氏は、創業者であるスティーブ・ウィン氏の数々のセクハラ疑惑の後、大きく傷ついたウィン・リゾーツの評判へのダメージ回復にCEOとしての最初の2年間の大半を費やした。スティーブ・ウ ィン氏はその事件によって取締役を辞任し、最終的には会社の持株全てを売却するに至った。
マドックス氏の監視下で、取締役会は包括的な大改革を進め、多くの「古株」に別れを告げ、かなりの数の女性を加えるなど、より多様なメンバーを追加した。内情を知る人は、新生ウィン・リゾーツは正真正銘「2021年の選ばれる雇用主」だと言う。
しかし、マドックス氏が自分の仕事を楽しむ余裕はほとんどない。
2021年2月、マカオ当局は、コロナ禍のため、マカオ内の全てのカジノの15日間休業を命じた。その中には、ウィン・リゾーツ子会社のウィン・マカオが運営する、ウィン・マカオとウィン・パレスが含まれていた。マカオのカジノはそれ以来休業はしていないものの、今も続く中国本土との入境制限によって、来場者数は厳しい状況が続いている。今年に入って回復の兆しが見られていたものの、新型コロナ感染の飛び火が数回あったために、ここ数カ月は回復が進んでおらず、10月の大型連休全体で見てもマカオへの訪問者数は8,159人のみで、2019年の同じ期間の約100万人には遠く及ばない結果となった。
ウィン・マカオのカジノは2021年第1、第2四半期にそれぞれ7,500万米ドル(83億円)と5,000万米ドル(55億円)の損失を生み出した。2020年は9億2,800万米ドル(1,020億円)の損だった。
しかし、マドックス氏はその間もずっとマカオの見通しに関して強気の姿勢を崩さす、8月には投資家に対して、マスゲーミング部門がかつてないほどに好調な状態に回復すると予想していると述べていた。
同氏は「予測するのは難しいが、5月の大型連休に起こったことを見ると、累積需要が本物であることを示しており、世界中のどこであ っても、我々がしていることへの需要はかつてないほどに高まっている。明らかに(VIP部門は)、前の状態に戻ることはないが、皆様がプレミアムマスとマスサイドで目にするものは、かつてないほどに好調になると心から期待している」と述べている。
これを念頭に、ウィン・マカオは旧VIPエリアの一部をプレミアムマスへと変更しており、マカオの他の事業者の動きに同調している。
同社はまた、半島側にある施設の拡張も完了させており、マスゲ ーミングエリアを広げ、新しいレストラン2軒と7千平米の新たなシ ョッピングエリアを加えている。
さらに大規模なコタイのIR、ウィン・パレス第2フェーズ拡張計画は新型コロナによって保留になってはいるが、工事が進めば、おそらく2022年にはさらに多くのホテルやゲーミング以外のアトラクションが追加される。
マドックス氏がその頃までには穏やかな波を求めているのは間違いない。