取締役兼CEO
サンシティグループ
取締業務役会長
サンシティ グループ ホールディングス
非業務執行取締役会長
サミット・アセント・ホールディングス
パワースコア: 1,572
昨年の順位: 6
評価理由
- 香港に上場する子会社を通じてサンシティをジャンケットプロモーターからカジノオーナー兼事業者へと成長させた
- マカオの主要産業でトップの地元出身者
かつてマカオを支配していたVIPゲーミングセクターが直面する苦難に関しては色々なことがあった。そしてそれには正当な理由がある。
ハイローラーたちを1つの場所から次の場所へ運ぶことで成り立 っている業界にとって、コロナ禍で過去2年間の大半の期間、国境が閉鎖されたことは残酷な打撃であったことが分かっており、VIPのGGRはマカオやフィリピンといった主要市場で80%以上も減少した。
新型コロナの感染拡大は今後収束していくであろう一方で、より長期的な懸念の一つというのが、中国による越境賭博、特に賭博目的を促進する中国からの資金の流れへの取り締まり強化という最近の動きだ。中国文化観光部は2020年8月、中国本土の客をターゲットにしていると言われる海外観光地の「ブラックリスト」を作成したことを発表した。そのことについては、それ以来2度も繰り返し述べられており、中国公安部、国家外貨管理局 そして中国人民銀行(PBOC)さえもが、今年、越境賭博およびそれを宣伝した者に対処することを誓う声明を出している。
しかし、かつてマカオのゲーミング収益の73%を占めていた業界の中にあってさえも、サンシティグループのアルヴィン・チャウCEOは長い間その前兆を見抜いていた。
同社の香港上場法人、サンシティ グループ ホールディングスの下で、サンシティはここ数年、特にカジノ運営に焦点を当てて、経営多角化戦略を追求している。
これに関する旗艦施設が、昨年ベトナムにオープンした40億米ドル(4,400億円)の統合型リゾート、ホイアナであり、ホスピタリティ投資家のVMSインベストメントグループとベトナムの投資会社、ビナキャピタルとの協力の下で進めてきた。
新型コロナの感染拡大スピードはこれまでのところゆっくりだ。そして3kmにおよぶ海岸沿いに伸びる945ヘクタールの広さを持つ施設自体がサンシティの壮大な夢を明示している。第1フェーズにはカジノ、香港のローズウッドホテルグループが運営する4つのホテルブランド、本格アジア料理レストラン、そしてロバート・トレント・ジョ ーンズ2世が設計したチャンピオンシップゴルフコースが含まれているものの、この開発は13年をかけて実現される7つのフェーズを通じてこそ、完全な輝きを実現する。多くのレジャーやホスピタリティアトラクションの中でも特に、多数のホテル及び住居、18ホールのゴルフコース2本、MICE施設、商業施設、高級小売店や屋外ショッピングエリアなどが追加される予定で、完成目標は2030年。
2018年、サンシティは、ロシアのIR、ティグレ デ クリスタルの過半数株主であるサミット・アセント・ホールディングズの3.29%の株式を取得し、その後、2020年半ばまでにその持ち分を約70%にまで引き上げている。同施設のアップグレード工事が今年完了し、新たなサンシティVIPルーム、鍋料理レストラン、高級クラブが追加され、同時進行でティグレ デ クリスタル第2フェーズ拡張のための計画が仕上げ段階に入っている。完成すれば、第2フェーズで施設内のゲーミングスペースは倍になり、ホテル客室数は3倍になる。
そしてマニラでは、エンターテインメント・シティに10億米ドル(1,100億円)をかけてホテルおよびカジノを開発しており、現段階では客室450室、ゲーミングテーブル400台、そしてスロットマシン1,200台が2023年にオープン予定となっている。
それに加えて、日本での2つの非ゲーミングリゾート開発、そして2021年2月にはサンシティの中国での不動産賃貸業を売却するなど、チャウ氏がジャンケットではなくカジノ運営に自身の未来を見ていることに疑いの余地はない。どう転ぶかは、時のみぞ知る。