社長兼業務執行役員
サンズ・チャイナ
パワースコア: 1,689
昨年の順位: 10
評価理由
- 中国本土にコネクションを持つ、経験豊富な役所および政界関係の策士
- 不動産開発での広範にわたる実績
ラスベガス・サンズ(LVS)は、長年をかけて世界のゲーミング界の正真正銘の大企業という地位を築きあげてきた。しかし今、この時こそが今後10年間の道筋を決定づける時だ。
3月、ラスベガスに持つ資産を62億5,000万米ドル(6,900億円)で売却したことで、LVSは世界に向けて、その未来のほとんどがアジア、主に現地法人サンズ・チャイナが支配するコタイストリップのあるマカオにあると宣言した。
マカオへの投資を続けるという約束、それがサンズ・チャイナのウ ィルフレッド・ウォン社長をそのまさに中心に立たせている。
しかし、サンズ・チャイナへのウォン氏の重要性は、単なる事業拡大よりもはるかに重要な意味を持つ。マカオのゲーミングコンセッション保有6社のゲーミングライセンスが2022年6月26日に期限切れを迎える中で、今後サンズ・チャイナがその存在感を確実に維持する際にウォン氏の政界とのつながりが極めて重要になってくるだろう。同時に、最近のマカオゲーミング法改正案に関する提案も少なくとも一部は、彼の指導の下で行われていることだろう。
これこそが、サンズ・チャイナが2015年11月にウォン氏の採用を最初に求め、社長兼COOに指名した理由だ。当時、香港政府の役人を務めていたウォン氏は、1997年の返還の際、香港の基本法に関して中国本土との協議に密接に関わった。香港返還時に築きあげた関係性を基盤として、後にウォン氏は1997年から2013年まで中国全人代香港代表を務めた。
最近の中国とLVSの出身地である米国との間の最近の緊張関係を考えると、それ等の外交スキルが活かされてはいるものの、ウォン氏は同社のマカオ法人がコロナ禍の大打撃の中でも、良い企業市民であることを守り続けてきた。
サンズ・チャイナがマカオで十分な投資を行っていないと非難されるはずもない。2月、同社はサンズコタイセントラルをザ・ロンドナ ー・マカオへと変える20億米ドル(2,200億円)プロジェクトの第1フ ェーズをオープンさせた。この改装は、お隣のザ・ベネチアン・マカオやザ・パリジャン・マカオで人気が証明されているヨーロッパの街を模したテーマだ。
非常に利益の多いプレミアムマスセグメントをターゲットにした今回のアップグレードではすでに、元ホリデイイン・マカオが600室のスイートを持つロンドナー・ホテルに改装されており、今後数カ月の間には6,000人収容の新しいロンドナー・アリーナが加わり、ショ ップス・アット・ロンドナーの小売スペースは拡張され、そして以前はセントレジスタワースイーツだった場所は370室の住居型全スイ ートのホテル、ロンドナー・コートに改装される。そして英国で最も有名なランドマークのいくつかを模したレプリカで飾られた最新の外装がお披露目される。
ロブ・ゴールドスタイン会長兼CEOも、マカオへの100億米ドル (1兆1,000億円)の投資を約束しており、サンズ・チャイナのアジア快進撃はまだ始まったばかりだ。