会長兼CEO
ゲンティン・ブルハド
会長兼CEO
ゲンティン・マレーシア
会長兼CEO
ゲンティン香港
取締役会長
ゲンティン・シンガポール
取締役
トラベラーズ・インターナショナル・ホテル・グループ
パワースコア: 3,295
昨年の順位: 5
評価理由
- マカオを除くアジア市場、英国、北米に事業展開する最もグローバルなゲーミング企業を率いる
- 2021年、過去10年間で初めてラスベガス・ストリップ沿いにゼロから建設された統合型リゾートを開業
- 息子であるリム・ケオン・ホイ (林拱輝)氏が3代目のリーダーとして会社を引き継げるよう育成中
ゲンティンの長であるリム・コック・タイ氏の過去1年をジェットコ ースターだと説明することは、エベレストを道路上の小さなでこぼこと言うようなものだ。
コロナ禍が提示した問題は広範囲に及び、マレーシア、シンガポ ール、米国そして英国にあるゲンティン・グループのカジノや統合型リゾートは長期間の休業を余儀なくされ、クルーズ船を運航する子会社のゲンティン香港の未来には大きな疑問が投げかけられた。
2020年8月、ゲンティン香港は、33億7,000万米ドル(3,700億円)の債務返済を停止した。同社はコロナ禍を乗り切るために流動性を維持する必要があると説明し、世界を航行するクルーズ船団をド ックに入れたままで債券者たちと危機対応の協議をスタートさせた。
数カ月に及ぶ交渉の末、同社は2021年6月、一部債権者との間で新たな借り入れを行うこと、そして約26億米ドル(2,800億円)の債務返済期限の延長で正式な合意に至ったと発表した。しかしながら、その他の貸主との協議は未解決となっている。2021年6月までの6カ月間にさらに2億3,800万米ドル(260億円)の損失を出したことで、全面解決からは遠ざかるばかりだが、少なくとも一部のシンガポール、香港そして台湾発着「無寄港」クルーズが再開されてはいる。
少しでも負担を軽減させようと、ゲンティン香港は非中核資産の処分に忙しくしており、ナイトクラブブランドの『Zouk』はリム氏の息子で法定相続人のリム・ケオン・ホイ氏に、プライベートジェットはゲンティン・グループのリゾートワールド・ラスベガスに売却され、そして高級ヨットブランドに持つ26%の株式はリム氏自身が買い取る形となった。
ゲンティン香港また、100%子会社でマカオの南湾湖沿いにホテルを開発中のゲンティン・マカオに持つ株式の50%も7億5,000万香港ドル(100億円)で売却しており、残り50%も後に続く可能性が高く、ゲンティンはアジアのカジノ中心地であるマカオで旗を立てるチャンスを完全に閉ざしているようだ。
同様に、ゲンティン・シンガポールの日本進出の夢も、8月に横浜でIR反対派の新市長が誕生したことで、間もなく完全に断たれることになった。少なくとも、同社のシンガポールの施設、リゾートワールド・セントーサが現地および駐在員の需要によって驚くほど好調な状態をキープできていおり、21年上半期には8,820万シンガポールドル(72億円)の利益を生み出した。
ゲンティン・マレーシアは、2021年第3四半期に6四半期連続で純損失を計上した。その原因は主に、米・英でのカジノ休業、そしてより最近のマレーシアのリゾートワールド・ゲンティン(RWG)の4カ月の休業だ。
しかし、RWGは10月初めについに営業を再開し、待望の新テーマパーク、ゲンティン・スカイワールドが12月にオープン予定となっていることで、アナリスト達は急速な回復、そして2022年初頭までの黒字転換を予想している。
前向きな感情が、米・英でのカジノ営業再開と相まって、ゲンティンのニューヨークのカジノからのゲーミング収益はすでに、大きな繰り延べ需要によってコロナ前の水準を上回っている。
さらに重要なことに、ゲンティンの430万米ドル(4.7億円)をかけたリゾートワールド・ラスベガス計画が、6月24日に待望のグランドオープンを迎え、過去10年間で初めてラスベガス・ストリップ沿いにゼロから建てられた統合型リゾートとなった。リム氏はすでに米国での上場を大きく謳っており、それによってグループが持つ米国資産が同じ傘下に集まることになる。
リム氏自身にとっても、コロナ禍の影響は非常に大きなもので、2021年だけでも個人資産から約5億米ドル(550億円)が消え、2019年初頭以降では18億米ドル(1,990億円)が消失し、フォーブス・アジアのマレーシア長者番付から脱落する結果となった。
具体的に今後数年間の運命がどうあるかは、マレーシアやシンガポールのIRが今後ますます成功し、米国での長期計画が進む中で、リム氏がゲンティン香港の苦難をどうさばくかに大きくかかってくるだろう。