会長兼CEO
メルコリゾーツ&エンターテインメント
会長兼CEO
メルコ・インターナショナル
取締役
スタジオシティ・インターナショナル
パワースコア: 3,636
昨年の順位: 4
評価理由
- サンズ・チャイナ以外で、唯一コタイ中央通りに正面を面する事業者
- キプロス、日本への海外進出を目指す
- シティー オブ ドリームス マニラでフィリピンに唯一展開するマカオの事業者
父親であるマカオのカジノ王、スタンレー・ホー氏が死去し、クラウン・リゾーツを通じてオーストラリアに進出するも不運な結果に終わる、そしてコロナ禍で壊滅的な経済的打撃を受けた厳しい2020年は何とか耐え抜いた。しかし、メルコリゾーツ&エンターテイメントのローレンス・ホー氏にとって2021年はそれよりもはるかにましという状況にまでは至っていない。
コロナ禍は継続してメルコの利益に打撃を与え、2020年は12億6,000万米ドル(約1,400億円 )の純損失を計上し、2021年の1-3月期には2億3,300万米ドル(約260億円)、そして第2四半期は1億8,600万米ドル(約210億円)の損失を出した。2021年の大部分において徐々に回復傾向にあったものの、マカオや珠海市での最近の感染拡大によって、そのスピードは衰え、より良い未来への予測は再び先延ばしになっている。
他に保留状態にあるのが、ホー氏が長年抱いてきた日本での統合型リゾート開業の夢だ。ゲンティン・シンガポールの他に横浜でのRFPに参加した候補事業者の1社になっていたが、同市のIR誘致は9月、IR反対派の山中竹春氏が市長選に勝利したことで、突然撤回された。長野でスキーリゾート、箱根で温泉リゾートの開発を続けるメルコは、日本での活動は継続すると話すものの、別のチャンスがいつ、どのように出現するかはまだ不透明だ。
しかし、今後数年を楽観視できる理由はある。新型コロナの感染拡大の前、メルコは経営陣を大きく入れ替えることで、明確かつ重要な歩みを進めており、結果、2019年のマステーブル部門でのゲーミング収益は、旗艦施設のシティー オブ ドリームスにけん引される形で過去最高を記録した。
新型コロナがメルコの勢いを阻む一方で、利益の多くが収益の大きいプレミアムマス部門で生まれたことを考えると、それら2019年の業績は重要な意味を持つ。2021年7月のレポートの中で、サンフォード C バーンスタインのアナリスト達は、プレミアムマスにおけるメルコの強さは、マカオがコロナ禍による後退から浮上するにあたって、メルコが変化する客層を最大限活用するのに特に有利な立ち位置にいることを意味すると述べていた。
それを念頭に置くと、メルコが7月、同社のマカオでの第一号カジノ、アルティラ・マカオでジャンケットおよびVIP事業を停止し、全てのゲーミングエリアをプレミアムマスに変更すると発表したのは驚きでも何でもない。
その間、スタジオシティ第2フェーズでの開発工事が順調に進んでおり、新ウォーターパークが5月にオープンした。
世界的には、ヨーロッパ発の本物の統合型リゾート、シティー オブ ドリームス メディテラニアンが2022年後半にキプロスで開業予定となっており、この施設にはゲーミングテーブル100台、スロットマシン1,000台を持つ7,500平米のカジノ、500室の客室、5つ星ホテル、MICEスペース、レストランが作られる予定だ。
そして開発パイプラインに新たに加わったのが、香港上場のアジ ャイル・グループとのパートナーシップで数千億円をかけて広東省中山に開発される多目的の住宅・娯楽・ホスピタリティ複合施設だ。メルコの利害は主にテーマパークに限定されることになるものの、この広い複合施設には、 集合住宅、オフィスエリア、ホテル、サービスアパート、健康センターそしてショッピングモールなど、住居、商業、レクリエーション、エンターテイメント要素が含まれる。
日本やオーストラリアが示しているように、メルコの世界進出事業は常に順調であったわけではないものの、ホー氏率いるこの会社が野心に不足することはないだろう。