長崎県佐世保市のハウステンボスにIRを設置・運営する事業者を選定するためのプレゼンテーションが1次審査を通過した3者によって行われた、たった2日後にOshidori International Development(オシドリ) は長崎からの撤退を表明した。
同社はプレスリリースにより今回の撤退を発表した際に「長崎県が課すIRにおける開発・運営上のルールを改善せず、RFP(公募・選定)プロセスが倫理的かつ公平公正に実施されない限り、長崎IRのRFPへの参加を取りやめる」と述べた。
米部族カジノ事業者であるモヒガン・ゲーミング&エンターテインメントと共にコンソーシアムを率いてきた同社は、長崎での状況について次のように述べている。「長崎県が課す制約の多くが不合理であり、現状では合理的かつ効果的な方法で事業を行うことが出来ない」。
長崎、また日本のIR業界全体の発展についてさらに懸念を示しており、IRプロセス自体の問題をほのめかした。
「RFPのプロセスにおいて複数の倫理的不正の疑いが拭えない場面に遭遇した。オシドリは清廉潔白かつ、専門性、透明性が担保された選考プロセス以外は参加を希望しない」。

また長崎地域への感謝も同時に表明しており、「長崎IRプロセスのへの当社の参加に対してのご協力とご支援を賜りました地域社会及び関係者の皆様に感謝を申し上げます」と述べている。
同社は、長崎でのIRに対する大きな投資額をコミットしており、資金が潤沢である企業として知られている。また同社ではラスベガスIR業界でも経験豊富で、名の通った幹部役員を何名か雇っていた。長崎に残っている3者の候補者の最近の客観的評価で、IAGは、オシドリが長崎で成功するIRを開発するのに最高の条件を提示していると結論付けた。
現在は、カジノオーストリアとニキ・チャウフーが候補者として残っている。
ある関係者はIAGに「長崎政府の中で舞台裏の戦略があり、オシドリの競合他社の1者を支援する為に特別に設計されたものである」と述べていた。
同社の撤退は、世界的IR事業者であるラスベガス・サンズとウィンリゾーツ、またVIP向け事業者であるサンシティが去った後の出来事で、注目を集める撤退劇である。ギャラクシーエンターテイメントグループ、SJM、ブルームベリー、ハードロックなど、多くの企業が正式な撤退表明はしていないが、沈黙を貫いている。
IR事業を推進している日本の政府関係者は、懸念を抱いているに違いない。世界中の20社以上が最初の頃に日本IRに関心を示していたが、現在4か所の候補地に残っているのは6者(そのうち3者はアジアでのIR運営実績がある)のみとなった。
業界でささやかれていた「日本のIRプロセスは失敗したのか?」という疑問を今投げかけるときかもしれない。