フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、ボラカイ島やマニラでのカジノ建設を中止するなど、かつてはあらゆるギャンブルに反対していたが、現在は新型コロナウイルス感染拡大に対抗するための資金源として、ギャンブルの必要性を検討している。
同大統領は7月7日(水)に行われた政党幹部との会合で、自身の見解を概説。フィリピン通信社の報道によると、会合ではオンラインギャンブルについて言及したとのことだ。
「ギャンブルを許可したのは、国にお金がないからだ。お金が必要になった今、最もすべきなのは、実際にそのような活動を奨励することである」と、同大統領は語ったとされている。
「嫌悪感を抱く人もいるだろうが、国のためにお金が必要なので、仕方のないこと」。
同大統領は、ボラカイ島すべてのカジノ事業者のカジノライセンスを取り消す大統領令を発布し、マカオのギャラクシー・エンターテインメント・グループがレジャー・アンド・リゾーツ・ワールドと提携して同島で計画していた5億米ドル(約553億円)のカジノ開発を中止させたことで知られている。
また、香港上場のランディング・インターナショナル・デベロップメントがマニラのエンターテインメントシティに15億米ドル(約1,660億円)の統合型リゾートを開発するための50年の土地リース契約も、2018年8月に取り消した。
このような過去にもかかわらず、国内で話題のフィリピン・オフショア・ゲーミング・オペレーター(POGO)業界や、最近ではカジノ事業者に地元の人々へのオンラインゲーミングの提供を認めるPIGO制度が、同大統領の下で発展している。
同大統領は同会合で、「自分の任期中にギャンブルを許可したと言われている」と語った。
「その通りで、否定はしない。確かに、私が数年前に大統領に就任したときには『ギャンブルに反対』と言い、決して許可しなかった」。
新型コロナウイルスを掌握するために同国が戦っている中、政府の資金不足が結果的に同大統領の手を煩わせている。
「感染拡大に関しては、資金が不足している。ウイルスが国中で猛威を振るうのを抑えるために、取っておいた資金をすべて使い切ってしまった」。
同国のゲーミング規制当局であるPAGCORは、法律により利益の大部分を政府に寄付しているが、21年第1四半期のゲーミング事業からの収入は前年同期比49.1%減の83億6,000万ペソ(約185億円)となっている。