IR(統合型リゾート施設)を巡り、米軍基地などがある佐世保市への誘致を目指す長崎県は2日、安全保障上重要な施設周辺の土地利用を規制する法律が成立した影響について、「最大限注視する」との考えを示した。一方、IRを設置・運営する事業者の選定で安保を審査基準に加えることは「困難」としたという。長崎新聞が伝えた。
いわゆる「重要土地規制法」は、ことし6月に可決・成立した法案で、自衛隊の基地や原子力発電所などの、安全保障上重要な施設の周囲約1キロメートル以内や、国境に近い離島を「注視区域」や「特別注視区域」に指定し、その利用を規制するもの。土地や建物の売買の際に事前に氏名や国籍の届け出ることなどが義務づけられている。
日本本土の最西端に位置し、日本海や東シナ海に広く面する長崎県には、多数の自衛隊基地や米軍基地があり、県がIR誘致を目指すハウステンボスのある佐世保市にも多くの自衛隊や米軍の基地がある。また、大村湾を挟んだ長崎空港近辺にも多数の自衛隊基地がある。
同紙によると、県議会総務委員会で宮島大典委員から出た「佐世保は安全保障上の重要拠点。安保は事業者の選考に盛り込まれるのか」という質問に対し、吉田政策監は「(6月の法成立前に審査基準は決まっており)評点に反映するのは非常に難しい。(規制法は)国の大方針なので、国との協議や情報収集をしていく」と述べたという。
長崎県では既にIR事業者公募の2次審査に入っており、県は8月にも▽オシドリ・コンソーシアム、▽カジノオーストリア、▽ニキ・チャウフー(パークビュー)グループ(五十音順)の3者の中から1者を決定する予定。