アジアのゲーミングとレジャー業界を取材して16年目を迎えたIAGの新連載では、「Destination Achieved(目的地になる)」というちょうど10年前に書かれた特集記事から、2011年6月当時の話題を振り返る。
Inside Asian Gamingの2011年6月号は、マカオのゲーミング史における重要な節目を取り上げていた。その表紙を飾っていたのが、たった数週間前の2011年5月15日にオープンした統合型リゾート「ギャラクシー・マカオ」、そしてフランシス・ルイ副会長だった。
ここ10年間にギャラクシー・マカオが収めてきた大きな成功を考えると、笑い話のようにも聞こえるが、10年前、全員の頭に浮かんでいた疑問というのが、その時代としては巨額の投資であったこの2,000億円のプロジェクトは、市場で他と食い合うことなく成功できるのかというものだった。
初期の兆候は期待できるものだった。ギャラクシーは当時、オープンから最初の90分間だけで約2万人がフロアを訪れたと述べており、同時に5月のマカオ全体のGGRは4月よりも13%高く推移ししていた。念のため、205億パタカ(2,800億円)という4月のGGRはその当時で過去最高の値だったことをつけ加えておこう。
それにもかかわらず、IAGチームはギャラクシー・マカオの集客力を低く見積もっていたかもしれない。訪問客に選ばれる目的地として、お隣のザ・ベネチアン・マカオと肩を並べるのは難しいかもしれないと指摘していたのだ。
「コタイに入って最初の立ち寄り場所としてのザ・ベネチアン・マカオの吸引力はおそらく、ゲーミング商品とは全く関係のない、写真映えというところにある。
最初のオープンラッシュの後で、ギャラクシー・マカオは、コタイに入って最初のギャンブル場所としての地位を確立する必要がある。ショップリスト自体は重要な呼び物にはならないだろう。また、ベネチアンの客にとってギャラクシー・マカオを『 二か所目の立ち寄り場所』にするのが難しいであろう理由に、交通の便という重要なポイントがある。
ギャラクシー・マカオは、蒸し暑いマカオの夏に、ザ・ベネチアンから快適に歩いていくには少しばかり遠すぎるかもしれない」
一足あるものの、この魅力あふれる施設にとって顧客を引き付けるということは全く問題になっておらず、ギャラクシー・マカオはその魅力を本当の意味で、そして充分に証明してきている。