8月に投開票される横浜市長選を巡り、横浜商工会議所の上野孝会頭は25日、IR(カジノを含む統合型リゾート施設)誘致を積極的に推進する人物が市長になってほしいとの見解を示した。地元紙の神奈川新聞が報じた。
上野会頭は同日の定例会見で、新型コロナウイルス対策が現在の最重要課題だと説明。その上で、「横浜経済がコロナ前の状況に戻るよう、積極的な経済政策を打っていただける方になっていただきたい」「IR(誘致)を積極的に推進していただける方が市長になれば、横浜経済に明るい見通しを持つことができるのではないか」と述べ、「少子高齢化が進む中、横浜経済の活性化を維持するためにはIRを実現することが大事な要素だ」と重ねて強調したと、同紙に書かれている。横浜市長選は8月29日投開票。IR誘致が大きな争点になると見られる。
2019年11月、横浜商工会議所を中心とした県内の経済団体が、横浜へのIR誘致を目指し「統合型リゾート(IR)横浜推進協議会」を発足した。神奈川経済同友会や神奈川県観光協会、横浜貿易協会、神奈川県経営者協会などの9団体で構成し、約1万5,000以上もの企業や団体が参加する大所帯となった。
同協議会は2020年1月、パシフィコ横浜にて「第1回[横浜]統合型リゾート産業展」を株式会社イノベントと共催。横浜IRに参入を目指す国内外のIR事業者やサプライヤーが多数出展し、来場者は2日で1万人を数えた。
これはまさに世界がコロナ禍に直面する直前であり、多数の感染者を擁した大型クルーズ船が横浜港に到着する僅か数日前のことであった。
その後、世界はコロナ禍に見舞われ今に至るが、コロナの影響を理由に事業者がIR参入に消極的になったり、IR誘致に反対する声が強まったりもしている。そのような状況下で、今回のようにIR誘致を推進する経済団体のトップがアフターコロナを見据えて市長選への見解を示した意義は大きい。沈黙が長かった分、誘致推進派には心強い言葉となったのではないか。
しかし、今のところ推進派の与党も反対派の野党も、市長選の統一候補の擁立に至っておらず、今後の動向が注目される。