オーストラリアのスター・エンターテイメント・グループは、条件付きで法的拘束力のないクラウン・リゾーツとの合併案を提示した。これが進めば、同国にある2つの巨大カジノが1つとなる。
月曜日の朝にASXを介して発表された詳細によると、同案ではクラウンの株式を1株当たり14豪ドル(約1,196円)強になると評価しており、これは先日行なわれた競合入札で1株当たり12豪ドル相当と評価された額を上回っている。
これらの競合入札には、アメリカの多国籍プライベートエクイティおよびヘッジファンドの巨大企業であるブラックストーングループから週末に受け取った修正案も含まれており、その買収提示額は、当初の1株あたり11.85豪ドル(約1,012円)から12.35豪ドル(約1,055円)に引き上げられていた。
一方、米国のグローバル資産運用会社であるオークツリー・キャピタル・マネジメントLPもまた、現在ジェームズ・パッカーのコンソリデーテッド・プレス・ホールディングスが保有するクラウン株の37%を取得するため30億豪ドル(約2,562億円)の買収提案も行っている。
しかし、スターは今日、合併した場合の概要を説明し、それには、株式交換比率をクラウン1株当たりに対し自社株2.68株提供するとし、クラウンの発行済み株式総数の25%を上限に、クラウン1株当たり12.50豪ドル(約1,068円)の現金を支払う選択権付きの提案をしている。
「スターの最近の取引価値と、合併で明らかとなる実質的な価値に基づき、同社はそのプロフォーマ株価が1株あたり5豪ドル(約427円)超であると見積もっており、株式交換による買収対価はクラウン株1株当たり14豪ドル(約1,196円)強となる潜在的価値を持つ。」と述べた。
スターは、国内観光およびエンターテインメントのリーダーを誕生させることで、この合併が全株主にとって魅力的な価値の提案になると信じている。リーダーは規模の拡大と地域別収益の多角化、バランスシートの大幅な強化、およびフリーキャッシュフローの生成を兼ね備えた世界クラスの統合型リゾートのポートフォリオを持つとしている。
またこの合併により、年間1億5,000万豪ドル(約128億円)〜2億豪ドル(約171億円)のシナジー効果が生まれ、推定純資産は20億豪ドル(約1,708億円)となるとした。
スターのジョン・オニール会長は以下のように述べている。「スターとクラウンの合併は、意義のある規模拡大と多角化をもたらし、相乗効果により推定20億豪ドル(約1,708億円)の正味価額が露呈することになるだろう。」
オーストラリアで最も魅力的且つ人口の多い地域と観光の中心地となる4つの州にまたがる世界クラスの不動産のポートフォリオを保有し、統合したグループは注目せざるを得ない投資提案先となり、アジア太平洋地域で最も魅力的な統合型リゾート事業者の1つとなるだろう。 」
同社によると、合併はまた強化されたグループの不動産ポートフォリオの一部において、潜在的な売却とリースバックの機会を与えることなり、ブラックストーンやオークツリーなどにも将来、資産取得を可能にする機会を残したままにしている。
スターがニューサウスウェールズ州とクイーンズランド州ですでに3つのカジノを運営していることを考慮すれば、同社は、政府や規制当局との既存の関係と運営と法令遵守の確かな実績により、そのような合併に関して規制当局の承認を得る自信があると述べた。
「我々は、クラウンと素案を作成してさらに話し合うことを楽しみにしている。必要なデューデリジェンスを完了し、今後2〜3カ月で拘束力のある合併と最終的な債務融資文書に合意できると見ている。」と同社は述べた。
クラウンは提案に関する独自の声明の中で、スターの現金代替案が完全に採用された場合、合併後の事業体のプロフォーマ所有権の割合は、クラウン株主が59%、スター株主は41%になると述べた。合併後の取締役会は、最初はクラウンとスターのそれぞれの現取締役員で構成される予定である。
クラウンは、提案のメリットについてはまだ見解を示しておらず、そのメリットについての評価手順に着手すると述べた。