フィッチ・レーティングスによると、マレーシアを拠点とするIR事業者ゲンティン・マレーシアは国内市場の健全な需要によって、そのEBITDAと投資資金の回収が22年末までに新型コロナウイルス感染拡大前の水準に回復すると見込まれている。
フィッチはこの評価に基づき、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を考慮して、ゲンティン・マレーシアの長期発行体デフォルト格付け(IDR)にネガティブな見通しと共に「BBB」を付与。
この「BBB」の格付けは、企業がどの時点でも投資適格であり、中程度ではあるが信用力が「十分」であることを示している。
新型コロナウイルスの影響を受け、ゲンティン・マレーシアは会計年度20年に22.6億リンギット(約600億円)の純損失を計上したものの、同社のマレーシアの統合型リゾートであるリゾートワールド・ゲンティンは内需の高まりにより、20年第3四半期には収益が19年第3四半期の66%、EBITDAが79%まで回復したとフィッチは指摘。同リゾートは、21年1月に新型コロナウイルスの新規感染者急増で2度目の営業停止を余儀なくされたが、その1カ月後に営業を再開している。
「感染拡大の増加を抑制するべく州間の渡航禁止措置が再実施され、2021年初頭に一時的な営業停止を行なったところ、収益は徐々に減ったが、渡航禁止措置がない場合のゲーミング粗収益の急増は内需の立ち直りの早さを示しており、これがゲンティン・マレーシアの回復を支えている」と、フィッチはコメント。
「ゲンティン・マレーシアは国内に特化した事業を展開しているため、国境を越えた旅行の再開が回復の鍵となるデスティネーション市場の同業他社より、感染拡大後の迅速な回復に関して有利な立場にある」。
「弊社は、ゲンティン・マレーシアのEBITDAが感染拡大前の水準に戻り、健全な需要によって純負債/EBITDAが22年末までに3倍以下になると予想している」。