野村グループ(以下、「野村」と称す)のアナリストによると、ゲンティン・バーハッドの43億米ドルのリゾートワールド・ラスベガス(RWLV)プロジェクトは、今年末までにオープンする予定で、2022年の同社のEBITDAに6%の追加が予想されているが、少なくとも数年間は純利益レベルで赤字が続く見通しだ。
このラスベガス・ストリップにある広大な施設は、21年後半のオープンに向け、着実に建設中。現在は西棟の55階と東棟の52階まで建設され、メインのカジノフロアにはカーペットが敷かれ、ポーカールーム、レストラン、一部店舗がほぼ完成している。
野村のトゥーシャー・モハタ氏とアルパ・アガワル氏は、ラスベガス・ストリップ周辺にある24軒のカジノのゲーミングデータに基づき、今後数年間の収益を予測。2022年には収益が3億5000万米ドルとEBITDAが8200万米ドル、2023年にはそれぞれ4億7700万米ドルと1億1200万米ドルになると算出された。
「しかし、減価償却や金利のコストを考慮すると、純利益レベルではRWLVが初年度から赤字になると予想される」と両氏は述べた。
「会計年度22年、23年、24年のRWLVの稼働率は、それぞれ50%、60%、70%を想定。これは新型コロナウイルスの感染拡大以降、観光やMICEのアクティビティーが徐々に回復していることを反映していると考えられる。RWLVの減価償却や金利のコストも会計年度22年から発生すると想定している」。
野村のRWLVモデルによると、アメリカの同社新施設の収益は、親会社であるゲンティン・バーハッドの2022年におけるグループ全体収益の10%未満になると予想され、200億3000万リンギット(48億7000万米ドル)から208億1000万リンギット(50億6000万米ドル)へとわずかに上方修正された。しかし、グループ全体の同年純利益は、RWLVの事業や集客数増加で9%減の11億3000万リンギット(2億7480万米ドル)に修正されている。
同社グループの事業があるマレーシア、シンガポール、イギリス、アメリカ、バハマで現在も新型コロナウイルスの影響が続いていることから、会計年度21年の売上高は7%減の152億5000万リンギット(37億1000万米ドル)、純利益は58%減の2億6400万リンギット(6420万米ドル)に修正された。