世界的なクルーズ船大手のゲンティン香港は、2020年12月31日までの1年間で最低15億米ドルの損失が予想されるとして、業績下方修正を発表。
同社は金曜日深夜の香港証券取引所の発表を通じて、決算の予備審査から、2019年の連結営業損失9600万米ドルと連結純損失15億米ドルが新型コロナウイルスの影響を受け、2020年はそれぞれ「6億米ドル以上と15億米ドル以上」に拡大したと述べた。
具体的には、ドリーム・クルーズ、クリスタル・クルーズ、スター・クルーズのクルーズ関連事業全体の航行停止およびドイツMV ヴェルフテン造船所における2020年3月から10月までの造船停止により、「特定の無形資産、有形固定資産、その他資産の減損および周辺資産を保有していた特定子会社の持ち株処分による損失 」が生じたと指摘。
同社は昨年、流動性を保持するべくグループの金融債権者への全支払いを停止し、「グループの運営に必須のサービスを維持するために残しておいた現金」を確保すると述べていたが、約34億米ドルの負債を抱えていたことから、今回の15億米ドルという莫大な損失が発生した。
同社は先日、MVヴェルフテン造船所グループを経営破綻から救うべく、6億米ドルの救済策の可能性についてドイツ政府と協議中であることを明かした。
しかし、金曜日の発表では、同社保有のクルーズ船クリスタル・セレニティが2021年7月以降にナッソーとビミニから航行を開始する吉報もあった。同船舶は、クルーズ業界が約1年前に航行を自粛して以来初の、アメリカ大陸から出航する海洋船舶となる。
「ゲンティンクルーズラインは、クリスタル・セレニティの航行再開により、航行中の全船舶の41%(下段総数に基づく)を占めることになる。この数値は、台湾での2020年7月のドリーム・クルーズのエクスプローラー・ドリームとシンガポールでの同年11月のワールド・ドリームにシンガポールに続き、世界の全クルーズ会社の中で最高の比率である」と、同社は述べた。