ロイヤル・カリビアンのクアンタム・オブ・ザ・シーズが乗客の新型コロナ陽性判明でシンガポールに引き返すことを余儀なくされ、同国の「無寄港クルーズ」の取り組みが早い段階で壁にぶつかっている。
つい数日前に3月以来初めて短期旅程を終えたこのクルーズ船は、今回の3泊4日の旅程の3日目に達したところで83歳のシンガポール人男性の陽性が判明した。
レポーターが同クルーズ船に乗船していたザ・ストレーツ・タイムズによると、この船は水曜午前8時にシンガポールに引き返し、その男性、そしてその男性と濃厚接触した乗客および乗員全員が直ちに隔離状態に置かれた。
シンガポール政府観光局でクルーズ船部門のディレクターを務めるアニー・チャン氏は、「PCR検査の結果、濃厚接触した人たちは陰性判定を受けており、現在さらなる接触者の追跡が行われている。船上での全てのレジャー活動も即時中止となり、乗客たちはそれぞれの部屋に留まるよう求められている」と述べた。
船には乗客1,680人、乗員1,148人が乗船していた。
シンガポール衛生局は、下船直後に陽性が判明した患者の濃厚接触者を隔離状態に置き、その他のゲストには14日間体調を観察し、ウイルス検査を受けることが求められると述べた。
ロイヤル・カリビアンのアジア太平洋地域マネージングディレクターのアンジー・スティーヴン氏は、ザ・ストレーツ・タイムズに対して、「感染が確認された人と濃厚接触していない人たちは、下船が許可され、従来の手続き通りに迅速抗原検査を受けることになる。そうすれば彼らは帰宅することができ、今後14日間体調を観察するよう求められる。その後、全ゲストがロイヤル・カリビアンが費用を負担してPCR検査を受ける予定だ」と話した。
11月初めに、ゲンティンクルーズラインが初めてシンガポール出港の「無寄港クルーズ」という遊覧ツアーを開始し、それに続いてロイヤル・カリビアンが今月からスタートさせていた。50%の定員上限、オンラインのみのチェックイン、携行した全手荷物への消毒の実施、そして全乗客に対して到着以前に取得した新型ウイルス陰性の検査結果の提出を求めるなど両社が、多くの新型コロナ安全対策を実施していた。