16日午後3時に長崎IRへの新規参入を発表した「ピクセルカンパニーズ」(本社・東京)の吉田弘明CEOが早速、IAGの単独インタビューに応じ、意気込みを語った。
山本智行:長崎IRへの参入発表後、素早くIAGの取材を受けてくださり、ありがとうございます。
吉田弘明: こちらこそ、ありがとうございます。少し興奮しています。公表したことでスタートラインに立った。いよいよ始まるんだなという思いです。
山本:会社の発祥は大阪のようですが、まずはどのような会社なのか紹介していただけませんか。
吉田: 当時とは全く違う会社になっています。事業の柱は、エンターテインメント、テクノロジー、デベロップメントの3つです。この6月には宮古島リゾートホテルの共同開発に乗り出しました。ゲーム機、システム開発も手掛けており、これらをうまく統一し、IRのアプローチにいかしています。
山本:そもそも国内のIR開発に参入することになったきっかけは。
吉田:IRにはもともと注目していました。5年ほど前に、あるクライアントの依頼でカジノゲーミング機を共同開発することになり、IRがもたらしてくれる可能性を感じ、そこから調査を始めました。その後間もなくして日本のIR法案が通り、時代の流れから一段と前向きに捉えるようになりました。
山本:なぜ、長崎を選んだのですか?決め手になったものは?
吉田:大前提としてあったのは「地方創生」というキーワードです。大都市圏には興味がありませんでした。IRによって地方を活性化できるところと考えた場合、歴史や文化、豊富な観光資源から長崎なら「できる」と判断しました。
山本:長崎はそこまで魅力的なんですね。他に理由は?
吉田:長崎県には900の美しい島々があるなど自然豊か。温泉もあり、ポテンシャルは相当高い。経済効果、雇用効果などは現段階では明かせませんが、長崎から九州一円に波及するような仕掛けも考えている。何より長崎はIRについて政治的に安定しており、しっかりとしたプロセスを経ている。長崎県庁の職員の見識も高く、オール九州としてまとまりもある。
山本:用意周到。その日に向け、着々と準備を進めて来た印象を受けます。
吉田 宮古島リゾートホテルをはじめ、様々なジャンルで、その方面に実績のある企業といい関係性を築けている。将来的にIRに行かせると考えているし、それが私たちの目指しているところでもある。10月末には私たちの思いを伝える意味で、IR開発を目指すコンソーシアムメンバーを発表させてもらいました。
山本:その中のひとつ、IRの運営主体としてフランスのパルトゥーシュと組んだ背景は。
吉田:まずは欧州で実績を残していること。長崎は西洋文化の影響を受けており、親和性が高いと感じた。
山本:ピクセル社の強みはなんなのか?
吉田:フランスやアメリカの企業などが集い、多様性に富み、チームとしてエンジョイしているところ。国内外の企業のハブとなることでアジアを代表するようなIR、大陸文化と西洋文化をうまく融合させた日本独自のIRを築くことができると信じており、上場企業として社会的責任を強く持っている。私たちには部門ごとに有力なメンバーがそろっており、これまでの経験でいいところ、悪いところも分かっているので、それらを最適化したい。
山本:コロナ禍での参戦表明になった。なぜ、この時期だったのか。
吉田:遅れていた国の基本方針案が約1カ月前に発表され、新たなスケジュールが明らかになった。自治体への申請が9カ月延期となりましたが、事業者として、このタイミングがベストと感じました。
山本:今後について。
吉田:日本にしかできない、私たちにしかできないゲームやコンテンツをつくり、IRに導入していきたい。一人の力ではなく、私たちが持っていないもの、補完できるパートナーを今後も必要としている。参入を公表したことによって、さらなる拡充をはかり、リレーションを加速させていきたいし、それが可能となる。