カジノ向けゲーム機、システム開発、再生エネルギーなどを手掛ける「ピクセルカンパニーズ」(本社・東京都港区)は16日、長崎県が推進するカジノを含む統合型リゾート(IR)への事業参入を目指すことを発表した。
ピクセルカンパニーズの吉田弘明CEOは「長崎は地方創生を実現するIR開発が期待でき、全国でも有数の候補地」と表明。すでに複数の国内外有力企業と提携しており、事業者公募へ向け、着々と準備を整えている。
機は熟した。国内外のパートナー企業とコンソーシアムを組成し、日本型IRの参画を掲げていたピクセルカンパニーズがついに方針を明らかにした。国内では横浜、大阪、和歌山、長崎の4カ所が立候補しているが、その中から選んだエリアは異国情緒溢れる長崎県。コロナ禍によりIR業界が世界的に停滞する中で、新規参入のニュースは一陣の風になりそうだ。
候補地の長崎県とは、これまで継続的にコンタクトを取り続けてきた。吉田CEOは「現時点で公募の正確な実施時期については発表されていないが、それまでの期間、引き続き対話を重ねながら準備を進め、IR事業ライセンスの取得を目指す」と意気込む。
立候補するにあたっては、しっかりと体制を整えてきた。6月には沖縄県宮古島市のリゾートホテル開発に着手。これは近い将来のIR開発に向け、貴重な経験になると思われる。8月にはIRの市場分析に優れ、誘致や買収などの実績が豊富な「TTLリゾーツ」と提携。さらにフランスを中心に42のカジノを運営する欧州大手のひとつ、「パルトゥーシュ・グループ」(Groupe Partouche)とも手を結んだ。
また、建築設計において世界各国のIRプロジェクトで成功を収めた「スティールマン・パートナーズ」(Steelman Partners)と提携。さらにIR専門のコンサルタント会社で、業界に精通したアリダード・タッシュ(Alidad Tash)氏率いる「2NT8」といったプロ集団ともコンソーシアムを組成した。
吉田CEOは「わたしたちは日本国内のコンソーシアムメンバーや提携先の選定、誘致をメインに取り組み、海外と日本のハブとなる役割を担っていきたい」と話す。
その長崎IRにはオーストリア国営の「カジノオーストリア・インターナショナル」、香港の「オシドリ・インターナショナル」、日本の「カレント」も名乗りを挙げており、これで4者の争いとなる。そのオシドリはパルトゥーシュと一時、パートナーとして基本合意していたものの、5月に「ビジョンと戦略の相違」から提携関係を解消した経緯がある。
ピクセルカンパニーズは東京証券取引所に上場し、ゲーミング、eスポーツ、金融技術システム開発、太陽光施設およびリゾート開発など幅広い事業を展開している。
今後はさらにパートナー企業が参画するための基盤づくりに取り組み、チーム力を強化していく構え。IR事業者選定のための事業提案公募(RFP)プロセスへの参加、並びに2021年10月から2022年に4月に延期された国へのIR区域認定の申請し、IR事業ライセンスの取得を目指す。
吉田CEOは「業界における海外の有力企業、関連分野の国内、地域企業、また国内外の投資会社などと様々な提携を重ねて拡大していく方針」と力強い。
新型コロナは日本国内では第3波が押し寄せ、先行きは依然として不透明だが、アフターコロナは間違いなく訪れる。チーム「ピクセル」の新規参入に希望の光を見た。