シンガポールの交通大臣が、香港、オーストラリア、ニュージーランドなどのいわゆる「安全な国」に対して門戸を開く「エアトラベルバブル」の可能性に関して、厳選した国または地域と交渉を行う計画を明かしている。
オン・イェ・コング大臣は今週、一部の航空路線を復活させ、シンガポールに最初の海外レジャー旅客の受け入れを目指す計画を明かした。
エアトラベルバブルは、シンガポール政府が最近日本と「ビジネストラック(相互グリーン・レーン)」を開始し、2国間の必要不可欠な出張を認めた後の今後に向けた重要な一歩と見られている。
また、苦戦を強いられているシンガポールのIR事業者にとって、有難い後押しにもなりそうだ。マリーナベイ・サンズ(MBS)とリゾートワールド・セントーサ(RWS)の両IRが20年第2四半期に大幅損失を報告している。両方が海外客に大きく依存している。
承認されれば、エアトラベルバブルは感染率が低い国からの旅行者のみを対象に実施される予定で、1日当たりの割当てが設定される可能性があり、様々な新型コロナウイルス検査要件が含まれることになる。
シンガポールはすでに、オーストラリア、ベトナム、ニュージーランド、ブルネイからの旅行者は受け入れる態勢にあると述べているが、同国は今回検討されているエアトラベルバブルにさらに多くの国や地域を加えることをつよく望んでおり、特に香港の名前が挙げられている。
オン大臣は「すでに前向きに対応してきている。香港やその他のパートナー地域との交渉を間もなく開始したいと願っている」と述べ、シンガポールがオーストラリアやベトナムのような国々から間もなく旅行客を迎えることを願っていると付け加えた。
「その他の国については、今すぐ制限解除という運びにはならなにものの、シンガポールは最終的に彼らが準備できたときに一番に浮かぶ場所となることはできる。
純粋に感染リスクという視点から見た時、これらの国や地域からの旅行者がチャンギ国際空港に到着した際に新型ウイルスを運んでくるリスクというのは、ジュロンやセンバワン(シンガポールの住宅地域)からくるシンガポール住民が運んでくるリスクとさほど変わらない」と述べた。
2020年4-6月期、MBSは1億1,300万米ドル(約88億円)のマイナスの調整後EBITDA、そして前年比96.7%減の純利益を報告しており、RWSはゲーミング粗収益が99%減となったことで、1億6,330万シンガポールドル(約127億円)の損失を計上した。