クラウン・リゾーツの筆頭株主であるジェームス・パッカー氏は、昨年議論の余地がある取引が不成立に終わる前に、メルコリゾーツのローレンス・ホー会長兼CEOに対して、クラウン-ウィンリゾーツの合併企業への同氏の関与の可能性についてマカオのゲーミング規制当局がどう感じているかを探るよう頼んでいた。
クラウンに持っていた19.99%の株式をメルコリゾーツに売却するという2019年5月のパッカー氏の決断につながった出来事は、水曜の同社のNSWカジノライセンス保有適正への調査の主な焦点であり、クラウンの元執行役会長は2日連続の尋問に直面した。
メルコが結局取得したのは最初の9.99%のみで、その後2020年4月にアメリカの多国籍プライベート・エクイティおよびヘッジファンド大手のブラックストーン・グループに売却された。今回の調査は、メルコのクラウンとの取引を調べる予定で、特にマカオのカジノ王、スタンレー・ホー博士との繋がりを調査することになっていた。スタンレー・ホー博士はローレンス・ホー氏の父親で、クラウンのNSWカジノライセンスでは禁止人物に指定されている。
パッカー氏とローレンス ・ ホー氏は、マカオのゲーミング事業者であったメルコ-クラウンで以前提携していたが、その後2016年にメルコがクラウンの全保有分を買い取った。
パッカー氏は結局、2019年初めに2社が再び協力することを提案したものの、同氏はそもそも、ウィン・リゾーツとの合併の可能性に集中していたことが水曜明らかにされた。それは同米カジノ大手が2019年4月9日に準備段階の協議を中止した後でさえもそうだった。
しかしながら、同氏は、クラウン・リゾーツの従業員19人が、2015年末に中国本土でギャンブルの違法宣伝行為のために逮捕された後、マカオのゲーミング監察協調局(DICJ)が彼がウィンの合併会社に株式を保有していることをどう見る可能性があるかについて懸念していた。
水曜の調査で公開されたウィンが手を引いた後のその週にパッカー氏とホー氏の間で交わされたEメールのやり取りの中で、ホー氏は「一帯一路フォーラムのために木曜と金曜は北京にいる予定だ。話し合ったことについて国務委員に話をする」と述べていた。
調査を助ける弁護士のアダム・ベル氏から、ホー氏は何の話をしていたのかと尋ねられ、パッカー氏は、「ホー氏とは、マカオの規制当局がクラウンについてどう考えているか何となく分かるかということを話していた」と答えた。
パッカー氏が2019年4月19日にホー氏に送ったEメールの返信には、「念のために知らせておくが、ウィンがマカオの規制当局の承認がOKだと確信すれば再入札するだろうと信じるだけの理由がある。だから、君が力を発揮してくれることを願っている。冗談抜きで、私が取締役会役員にならずに10%の株式を持つことを禁止されるべきだとは思わない」と書かれていた。
パッカー氏は調査に対して、「それはウィンの取引が進んだ場合のマカオの規制当局の承認に関する話であり、私の持株は10%ほどになっていただろう(中略)ウィン、クラウンとを合わせた会社でのという話だ」と説明した。
パッカー氏はまた、ホー氏にメルコにクラウン株を取得するよう頼んだのは自身の決断だったことも明かした。両者は最初、2社の完全合併を協議していた。
同氏は、しかしながら、「すぐに彼には合わない、私にも合わないという話に至った。ローレンスは、もしそれが上手くいけば、クラウンで何かすることに関心を持っていた。その資産を信じていた」と述べた。
パッカー氏は、クラウンがスタンレー・ホー博士または特定の関係者とビジネスをすることを禁じるNSW規制当局との規制上の合意について「全く頭になかった」と述べた。パッカー氏は、今年亡くなったホー博士は「非常に体調が悪い状態にあった」と述べ、「メルコはスタンレーではなくローレンスの会社だと考えていた」と付け加えた。
同氏はまた、クラウン株のメルコへの売却価格をより上手く決定するために、クラウンの幹部から財務予想を求めていたという指摘にも反論した。
パッカー氏は、「価格については柔軟な姿勢だった。ローレンスと取引したかったからだ。ローレンスと私は価格について話し合ったことはなく、我々の前に価格が置かれた時に合意した」と述べた。
ベル氏が、パッカー氏は適正価格を成立させようとすることに関心があったはずだと指摘した際、同氏は、「クラウンがどれくらいの価値があるかについて確固たる考えを持っていた。毎日それについて考えていた」と答えた。