オーストラリアのクラウン・リゾーツが、新しい資金洗浄対策アドバイザーとして、VIPおよびジャンケット営業への最近の捜査を監督した人物を引き抜いている。
シドニー・モーニング・ヘラルド(SMH)の報道によると、同社が自社のカジノ内にあるジャンケットルームで行われた高額のデポジットや送金をほとんど認知していなかったことが明かされたことを受けて先週、クラウンのAML管理強化を助けるためにオーストラリア犯罪情報委員会( Australian Criminal Intelligence Commission:ACIC)元メルボルン捜査責任者、ジョン・イェーツ氏が引き抜かれた。
2017年からイェーツ氏はACICによるクラウンのアジアジャンケットの使用および犯罪への関与疑惑に関する調査に関わってきたものの、オーストラリアでカジノを運営する同社では新たな上司にその情報を共有することは禁じられている。
SMHは、同氏の新しい役職に関しては意見が分かれており、元同僚の中には利害の対立になると警告する者もいれば、22億豪ドル(約1,637億円)をかけた新しいハイローラー向けカジノ、クラウン・シドニーの2020年12月の開業予定を前に社内で船を安定させるためにクラウンがまさに必要とする人物だと見る者もいる。
特に、情報筋がSMHに話した情報によると、イェーツ氏の新コンプライアンス専門家としての雇用は、クラウンが現在の窮状の深刻さ、そしてその適正に関して今行われている調査の最後にNSWのカジノライセンスを失うということが非常に現実的であると理解していることを示している。
クラウンは先週、ジャンケット営業に関する手続きの社内調査を実施する間、2021年6月30日までメルボルンとクラウンにあるカジノでの全てのジャンケットプレイを停止することを発表した。
ジャンケットプレイ停止は、ニューサウルウェールズ(NSW)独立酒類・ゲーミング局の調査の際にケン・バートンCEOが行った証言を受けたもので、同CEOは先週、上級幹部がクラウン・メルボルンにある自社カジノ内のジャンケットルームで行われていた巨額の現金デポジットや送金について知らなかったと証言していた。
クラウンはまたその際、新たに設置されたコンプライアンスおよび金融犯罪部長という役職の人員募集手続きも開始したと述べており、この役職に就いた人物はクラウン・リゾーツの取締役会に直接報告を行うことになっている。