ゲンティン・マレーシアが先週金曜、49%を所有する米子会社のエンパイア・リゾーツに、株式引受という手段で1億5,000万米ドル(約158億8,110万円)の資金を投入すると発表した。野村證券は、株主はこの発表に納得しないだろうと見ている。
今回の資金投入は、関連当事者取引の合計割合が5%の基準以下に維持されているために、株主承認を得る必要がない。ゲンティン・マレーシアはこの取引について、エンパイアが、短期債務を返済し、主要なニューヨークの資産であるリゾートワールド・キャットスキルズを再開するための資金を確実に持てるようにするために必要なものであると説明した。
しかしながら、野村のトゥーシャー・モハタ氏は今年8月にゲンティン・マレーシアが初めてエンパイア取得の意向を発表した際に同社の株価が12%下落したことに言及し、少数株主も主な3つの理由で「今回の資金投入を喜ばない可能性が高い」と述べた。
その理由には、株主投票が必要ないということ、以前にエンパイアの長期資金調達計画の一環としての4億7,500万米ドルの債券発行に失敗したこと、そして最も重要な理由として、エンパイアとリゾートワールド・キャットスキルズが近い将来にも損失を生み出し続ける可能性が高いことがある。
モハタ氏は、「リゾートワールド・キャットスキルズが新型コロナウイルスによる長引く休業後9月9日に再開したばかりである一方で、今後数四半期の損失が20年第1四半期の5,300万米ドル(約56億円)という損失(その中でゲンティン・マレーシアの分は2,600万米ドル)よりもさらに多い状態である可能性が高いままだ。
その結果、エンパイアは近い将来ゲンティン・マレーシアの財務において足手まといであり続け、その関連損失は毎年4億リンギ(約100億円)以上にのぼるだろう。
モハタ氏によると、この動きからくる1つのプラス点は、株主投票を引き起こすことなく、これ以上の関連当事者取引を2021年9月まで不可能にする事だと言い、ゲンティン・マレーシアが問題を抱える関連会社のゲンティン香港を救い出す手伝いに利用されるのではという恐れを和らげてくれる。
Inside Asian Gamingが伝えた通り、ゲンティン香港は、新型コロナウイルスのパンデミックの中で流動性を保持するために、全ての借入金返済を停止することを発表した後、債務再編のために債権者たちと協力している。また、同社は2020年上半期に7億4,300万米ドルの損失を計上した。