「大阪IR」コロナ禍で全面開業27～28年度に

　大阪府・市が誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート（IR）を巡り、大阪市の松井一郎市長は4日の記者会見で、全面開業の時期が運営事業者の募集要項で明記している2026年度末から1、2年遅れるとの認識を示した。国内大手メディアが一斉に報じている。

　新型コロナウイルスの感染拡大の影響で事業者側との打ち合わせができず、手続きに遅れが生じているため。IR事業者から今年7月の予定だった提案書類の提出期限を先延ばしするよう要望があり、開業までのスケジュールを見直すこととなった。

　市は大阪府とともに大阪湾の人工島・夢洲へのIR誘致を目指し、昨年、事業者の公募手続きを開始。最終的に米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの共同グループ１組が参加登録している。

　松井市長は事業者側から「少し時間を延ばしてほしいという連絡をもらっている」と述べた上で「事業者の投資余力というのも落ちており、そういうことも勘案しながら開業時期を見定めていきたい。全体的に1年から2年程度先送りということになるのではないか」との見通しを語った。

　府・市は今年3月、新型コロナ感染拡大による事業者への影響に配慮し、提案書の提出期限や事業者選定、土地引き渡しをそれぞれ3～6カ月先延ばしすることを決定。25年国際博覧会（大阪・関西万博）の前の開業を断念したが、さらに開業時期が遅れることになった。

　一方、政府は誘致を希望する自治体から申請を受け付け、最大3カ所を選ぶ予定。当初、今年1月の予定だった国のIR基本方針の決定が7月以降に先送りされる見通しともなっており、松井市長は「国は（自治体からの）申請期間を延長する検討をしていると思う」と述べた。