フィリピンの反マネーロンダリング評議会(AMLC)が、規制・監視されていないサービスプロバイダーによって、国内のオンラインゲーミング業界で「マネーロンダリングおよびその他の詐欺行為への脅威レベルが高まっている」ことを警告した。
今週、インターネットベースカジノに関する研究を発表したAMLCは、フィリピン・オフショア・ゲーミング・オペレーターズ(POGO)業界、主にサービスプロバイダー(SP)が担う役割をめぐる様々な問題を強調した。フィリピンのオンラインゲーミングモデルの下には、現在ライセンスを付与されたPOGOが59あり、その下で218のSPが様々なオンラインゲーミングサイトを運営している。
AMLCは、POGO業界のコンプライアンス現地調査を実施しようとしたところ、様々な問題に直面したことを指摘した。フィリピンではゲーミング営業申請中に必要な書類を揃えるなどの仕事を行う現地エージェントの配置が義務付けられているにもかかわらず、現地エージェントや認定代理人がいないなどの問題が見られた。
ALMCはまた、提供されたいずれの住所の、どのPOGOでもコンプライアンス担当者を見つけることができなかったと述べ、SPはその存在を認識しておらず、評議会が訪れたPOGOにはマネーロンダリング対策(AML)またはテロ資金供与対策(CTF)のコンプライアンス部はなかったと述べた。
AMLCは、「AML/CTFへの意識そして規則の水準が低い。
通常、POGOやIGLはそれらのSPと比べて問題が少ない。PAGCORとAMLCは共同でAML/CTF問題に関してPOGOを監視している。故に、POGOは(改正を含む)マネーロンダリング防止法(AMLA)の下での義務の対象となる。一方で、SPは単に認定されているにすぎず、PAGCORからライセンスは付与されていない。
SPのその問題に関して、評議会はこのように述べた。「規制・監視されていないSPが多数ある。全てのSPがAML/CTFの監視の領域内にあるわけではないために、彼らは犯罪組織から乱用・搾取される傾向にある。
2019年、地元当局は、違法にオンラインゲーミング営業を提供していた約200のインターネットベースカジノとSPを閉鎖した。同じ年に、地元政府はまたインターネットベースカジノを運営する最大SPの1社の営業を停止させた。前述のSPは、バングラデシュ銀行強盗事件に関連して行われているAML捜査の対象になっている個人や事業体とつながっている疑いがある」
AMLCは、「実質的所有者の身元もあまりはっきりしない。なぜなら、ゲーミングアカウントの使用がPOGOによってしっかりと規制されていないために、匿名性のレベルが高くなっている。故に、アカウントはマネーロンダリングや詐欺行為に使用されている可能性がある」と述べた。
それに応じて、評議会は、特にSPに適用される「具体的なアクションを伴う共同軽減戦略」を求めており、その中には、AML/CTFの監視強化、POGOおよびSP両方への規制の改善、POGOライセンスの再評価、そして執行機関間のより緊密な協力が含まれている。
AMLCは、「この研究は、利害関係者たちにインターネットベースカジノのマネーロンダリングへのリスクを知らせ、意思決定者たちが取り組み方針を作成する際の方向性を決めるためのツールとしての役割を果たす」と述べた。