北九州市のIR構想は消えていないようだ。香港の事業者から提案を受けた北橋健治市長は13日の定例会見で「できる範囲内でしっかりと受け止めて勉強を重ねる」と語り、国への申請期限をにらみながら可能性を探る考えを示した。朝日新聞が伝えている。
誘致場所としてはJR山陽新幹線・小倉駅北口と門司区喜多久の2案が盛り込まれている。このうち、小倉駅北口案は市の中心地である点を高く評価。国道199号の北、あさの汐風公園から東の区域にカジノのほかテーマパークや国際会議場、ホテルなどを整備するとしている。
この場所にはミクニワールドスタジアム北九州などがある。構想では、このエリア内にサッカーだけでなく野球などもできる多目的屋内アリーナなどを建設するとしている。
投資額は土地購入費を除いて6,000億円超と試算する。カジノで2,500億円規模の収入を見込み、これによる国と市の税収は750億円程度としている。
8日に提案を受けたこの構想について、北橋市長は定例会見で「数ある都市の中で北九州市を選んで具体的構想を検討して頂いて率直にうれしく思う。勉強をしっかり重ねたい」と述べた。一方で中立姿勢は変えないとし「(予定地には)市民が使っている公共施設や民間施設がある」として地権者や利用者の合意が必要との見方も示した。
9月にあった誘致に関する国の意向調査に市は「予定していない」と回答したが、国は具体的な申請期限を示していない。北橋市長は「政府がどのようなスケジュール感で対応していくかも注視したい」とも述べ、申請期限によっては前向きに考える余地があることを示唆した。
誘致派と反対派の双方からの陳情を継続審査中の市議会では、自民党を中心にした誘致派がいる一方、共産はギャンブル依存症への懸念から反対を表明している。「機運は醸成されてきた」という自民市議もおり、12月定例会で誘致派の陳情が可決される可能性がある。こうした動きについて、北橋市長は「議会の気持ち、意思を注視したい」と語っている。