大阪IR　万博前「部分開業」検討へ　大阪府市

　現実路線にカジを切るかもしれない。大阪湾の人工島・夢洲へのIR誘致を目指す大阪府と大阪市は、目標にしていた2024年度中の全面開業は困難とみて部分開業にとどめる方向で検討を始めた。夢洲では大阪・関西万博の25年開催が決定。万博前のIR全面開業で相乗効果を狙ったが、両者の工期が重なり、工期も短いことからスケジュール調整が難航している。10日、毎日新聞などが伝えた。

　府市は年内にIR事業者の公募を実施予定で、応募条件やスケジュールを盛り込んだ実施方針案を作成中。関係者によると、万博の工事は最優先で進める必要があるが、大阪進出に意欲を示すIR事業者はクオリティーを重要視しており、工期や工事条件などを巡り「24年度中の全面開業は厳しい」との見解を示しており、折り合いがついていないという。

　実際、府市が正式公募前に実施したコンセプト募集に応じた事業者のうちの1社は先月の記者会見で「万博に合わせたいのは理解するが、全面開業となると今日にも工事を始めないといけない」と強調。24年度中は極めて困難との認識を示していた。

　万博は25年5月開幕。半年間に及ぶ開催中の工事も可能か不透明で、全面開業はさらにずれ込む可能性もある。

　一方、松井一郎市長は9日、「事業者との調整には不確定要素が多すぎるが、（万博前の全面開業は）断念はしていない」と話し、さらに詳細を詰める考えを示した。