政府がIR「基本方針案」発表　選定作業が一気に加速

　ついに山が動き始めた。政府は4日、カジノを含む統合型リゾート（IR）を運営する事業者の選定基準を定めた「基本方針案」を公表した。これは誘致を目指す自治体にとっても大きな指針となる。

　方針案は5項目の評価基準を明記した。それによると①コンセプトが明確で施設の質や広さ、デザインなどが魅力に富み国際競争力の高いこと②観光や地域への経済効果が見込めること③ＩＲ事業者の運営能力や財務面の安定性④カジノ収益の自治体への還元⑤犯罪の予防、依存症対策などカジノ施設の悪影響を除くための効果的施策が挙げられている。

　なかでも日本型IRが参考とするシンガポールの成功例から推し量れるように、国際競争力の高さや訪日外国人客の増加に貢献できることが評価基準の肝となる。

　また「基本方針案」と合わせ、9月4日から10月3日までパブリックコメントを集めることも発表され、広く国民の声を吸い上げていく。集まった意見は最終決定に向けての参考材料となり、政府は来年前半にも最終的な「基本方針」を公表する。

　今後は秋の臨時国会でIRの規制・監督機関「カジノ管理委員会」の人事案などが審議されることになる。IR誘致は全国で最大3カ所と定められており、早ければ20年春にも候補地が認定され、施設の整備が始まる。

　開業は一般的に20年代半ばと見込まれているが大阪は2025年「万博」前の開業というゴールを変えていない。現在、誘致を表明している自治体はその大阪をはじめ、和歌山、長崎、横浜の4カ所。これに北海道も最終的には加わるとみられている。

　7月の参院選への影響を考慮したことで遅れていた「基本方針案」が発表されたことでIR事業者の公募と選定作業が一気に加速しそうだ。